第19回 アジア競技大会(アジア大会)に参加の侍ジャパン社会人代表は銅メダルをかけて3位決定戦に臨んだ。相手は3日に0対1で敗れた中国。連敗は許されない雪辱戦となった。
前日のチャイニーズ・タイペイ戦でも降り続いた雨がこの日も止まず、細かい雨が終始選手を濡らす中、紹興野球ソフトボールスポーツ文化センターの第1球場で12時(日本時間13時)開始のデーゲームが行われた。
雨の中、重い空気が球場を包むも終盤にドラマが
日本は堀誠(NTT東日本)が今大会2度目の先発。初回にタイムリーで1点を許すも、味方打線がすぐさま援護した。
2回表、1死から5番辻野雄大(Honda)が四球で出塁すると、6番金子聖史(東芝)がセンターに二塁打を放った。この場面で7番鈴木聖歩(JR東日本東北)が、低めの変化球にうまく合わせて一塁線を抜くヒット。二者が生還して2対1と逆転に成功した。
しかし追う中国も3回裏2死二塁で4番寇永康がライトに2ランホームラン。2対3と再びリードを奪われた。その後は前回同様投手戦に。先発の堀が4回を三者凡退に抑えてマウンドを降りると、5回は加藤三範(ENEOS)が併殺打を含む打者3人で中国の攻撃を締めた。
6回には田澤純一(ENEOS)が3番手として登板。昨冬から続いた右肩の違和感からの復帰登板は、ランナーを出すも無失点。3アウト目の打者をピッチャーゴロに打ち取り一塁にトスすると、ファーストを守るチームの後輩、丸山壮史(ENEOS)が大きく吠えた。
8回表、その丸山が追撃ののろしを上げる。丸山は8回の先頭打者として一塁線をやぶる二塁打で出塁。1番中川拓紀(Honda鈴鹿)は自らの判断で初球に送りバントを試みるもファウルに。2球目に進塁打となるセカンドゴロを放ち、1死三塁のチャンスを作った。
この場面に代打で登場の猪原隆雅(ミキハウス)が外角球をとらえて前進守備のセカンドの右を抜くタイムリーヒット。日本は2—2の同点に追いついた。さらに日本は北村祥治(トヨタ自動車)の四球と佐藤竜彦(Honda)のピッチャー強襲ヒットで1死満塁とチャンスを広げた。この場面で途中から出場の5番南木寿也(JR北海道硬式野球クラブ)のショートゴロエラーの間に三塁走者が生還、3対2と勝ち越しに成功した。
1点をリードした日本は8回裏のマウンドに佐竹功年(トヨタ自動車)を投入。佐竹は今大会3試合目の登板。2014年インチョン、2018年ジャカルタに続いて3大会連続、通算8度目のマウンドに上がった。佐竹は雄叫びを上げながらの熱投で8、9回の6人の打者から4奪三振。最後の打者をセンターフライに打ち取って日本が3対2で勝利。銅メダル獲得が決まった。
久々の出番で値千金の同点打を放った猪原
試合後、石井章夫監督は「終盤、選手一人一人が自分に向き合って勝負したことが勝ちにつながりました。中国との対戦は前回負けた試合も、今回も1点差。どちらが勝ってもおかしくない内容でした」と話した。
代打で同点打を放った猪原は前回の中国戦、そして韓国、チャイニーズ・タイペイ戦と出番がなかった。「実戦から離れていたので初球は目を慣らすために、打ちにいく中で見逃したらボールになって気持ちが楽になりました。次の球は変化球を頭に置いて、引っ張って併殺打になるのは避けて逆方向に強い打球を打っていこうと思っていました。試合に出ていなくても他の選手をサポートすることで役割を果たしてきました。きょう出番をいただいて『よしやってやろう』と思って、結果が出て良かったです」
チームに力を与えた田澤のピッチング
6回を田澤が0点に抑えた後について、ENEOSの後輩の丸山は「田澤さんが(故障で)苦しんでいたのは見ていましたし、熱いものがありました。(1点差で追っていたので)何とかこの流れを変えたい、変えられるのは野手しかいないので打てて良かったです」と『田澤効果』を語った。
その田澤は「ケガをしていてチームに迷惑かけっぱなしだったので、無失点に抑えられてよかったです。僕を選んでくれて使ってくれた石井監督に感謝したいです。丸山は自チームでも代表チームでも良きチームメイトなので、打ってくれて良かったです」と感謝と喜びを口にした。
日本はセカンドステージを2勝1敗、スーパーラウンドを1勝1敗で3位決定戦に進出。セカンドステージで敗れた中国に勝利し、銅メダルで今大会を終えた。
第19回 アジア競技大会
大会期間
2023年10月1日~10月7日
セカンドステージ(グループA)
10月1日(日)13:00 フィリピン 0 - 6 日本
10月2日(月)19:30 日本 18 - 0 ラオス
10月3日(火)19:30 日本 0 - 1 中国
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
スーパーラウンド
10月5日(木)13:00 韓国 2 - 0 日本
10月6日(金)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
3位決定戦
10月7日(土)13:00 中国 3 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
開催地
中国(杭州)
出場する国と地域
日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、中国、フィリピン、
香港、タイ、シンガポール、ラオス