文・写真=長谷一宏(JICA青年海外協力隊・ウガンダ野球ナショナルコーチ)
「コーチ!だめだ、このボールは捕れそうもない!だけど止めないと!と思ったら、スライディングで止めに行ってもいい?どうしてものときだけ!」
「コーチ!スコアシート見せて!前の打席で相手に打たれたヒットはカーブだったよね。次の時はストレートを多めに投げたほうがいい?」
こんにちは。初めまして。ウガンダ野球協会に派遣され、指導を行っている長谷と申します。みなさんは「アフリカ×野球」と聞いてどのようなイメージが浮かびますか?野球好きの皆さんなら一度は「アフリカに野球はあるのかな、高い身体能力でおもしろい野球をしそうだな」とわくわくしながら想像したことがあるかもしれません。
まさにここウガンダは実力、競技人口などあらゆる面で「アフリカ野球の最前線」です。国内ではまだまだマイナースポーツですが、上記のような質問を熱心にきいてくるなど、野球選手達は野球がとても好きなようでひたむきに取り組んでいます。
ウガンダには約20の野球チームが存在しています。
各チームは所属の異なる学校の学生で構成されているため、地域内で大会を行う際には「○○学校」vs「××学校」のような学校対抗戦の形式をとります。しかし通常はこれらの学生達が混合で集まり、「東京チーム」、「大阪チーム」のように、地域単位のチームを結成し日々の活動を行っています。選手の年齢は8歳~20歳と幅広いです。
気になる技術レベルは、ウガンダ代表チームで日本の高校野球地方予選の3回戦ほどという印象です。初戦敗退はしないけれども、シード校に勝つには厳しいかな、というレベルです。アフリカでは南アフリカ共和国に次いで2番手とされており、その急激な技術の上達に注目が集まっています。2014年のU18アフリカ大会ではこれまで「絶対的王者」とされていた南アフリカに5-8、1-4と負けはしたものの互角に渡り合い、関係者を驚愕させました。現在は7チームによる年間を通じた国内リーグ戦が行われています。
これまでウガンダ野球に出会った多くの日本の方々が抱く印象は、「意外にレベルが高い!!」「意外に日本との関わりが強い!!(日本でプレーをしている選手もいます)」のようです。
その点を踏まえながら、いただいた貴重な機会を利用し、全8回、日本の皆さんにウガンダ野球についてお伝えできればと思っています。楽しんでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
クラウドファンディングのお知らせ
現在「ウガンダ人野球選手に日本で技術とマナーを学ぶ成長体験を!」ということでインターネット上で資金を募るクラウドファンディングを実施しています。(詳細はぜひHPでご覧ください)
ウガンダ人選手2名を日本に派遣し、大学の野球部にて練習を行います。その後11月に行われる独立リーグの入団テストを日本人選手に交じり受験予定です。本プロジェクトを通じ、
①「日本でプロ選手としてプレーをする」という夢に挑戦する
②日本の野球を体感し、ウガンダ野球の発展のために何が必要かを考える
③将来、ウガンダ人選手がウガンダで技術を磨き、ウガンダでスポンサーを探し、自ら日本の野球界に挑戦することのできる自立的な仕組みをつくること
を目的としています。
ウガンダを背負って日本へチャレンジをする者を選ぶ選考会では、50mを6秒台前半で走る者、100m以上の遠投を見せる者、130km台の力強い速球をビシビシ投げ込む者、ロングティーでフェンスまで飛ばす者など各々が練習の成果を発揮しました。派遣対象に選ばれたオメリは139kmを計測、野球を始めてまだ4年です。日本でトレーニングを積めば素晴らしいピッチャーになる可能性があります。
日本の皆様にも楽しんでいただけるよう、そして「選手が日本に行って終わり」という一過性のものでなく、選手の経験がウガンダで長期に渡り還元されるよう全力で取り組んで参ります。
8月17日までHP上でご協力を募っています。目標金額に到達しなければプロジェクト不成立となります。あたたかい応援よろしくお願いします!
- 【第10回】2017年5月26日 「ウガンダからのメッセージ」
- 【第9回】2017年2月22日 「ウガンダ野球の未来vol.1 日本からのサポートをどう行うか」
- 【第8回】2017年1月26日 「私の背景」
- 【第7回】2017年1月17日 「ウガンダ野球の歴史」
- 【第6回】2016年12月27日 「マネジメント システム作り」
- 【第5回】2016年12月1日 「ウガンダ人選手が見た日本 vol.2」
- 【第4回】2016年11月4日 「ウガンダ人選手が見た日本」
- 【第3回】2016年9月29日 「強化活動について~いつかは大敗を~」
- 【第2回】2016年9月8日 「野球の普及と強制」
- 【第1回】2016年8月3日 「ウガンダ野球の今」
著者プロフィール
- 長谷 一宏
- 1987年10月6日生
2014年10月より青年海外協力隊員としてウガンダ野球協会へ、選手の指導及び指導者育成のためナショナルコーチとして派遣されている。「ウガンダ野球の自立的・持続的な発展」を目標とし、各チームへの技術指導に加え、リーグ戦の運営、学校への普及などを行っている。
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