来年8月に台北市で開催される大学総合スポーツの祭典「第29回ユニバーシアード競技大会」。その野球競技に出場し、昨年に韓国・光州市で行なわれた第28回大会(決勝戦雨天中止のためチャイニーズ・タイペイとの両国優勝)に続く連覇と単独優勝を狙う侍ジャパン大学代表の選考合宿が、48選手が参加し11月26日・愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムにおいて3日間の日程で始まった。
「選考会なので長所をアピールしてほしい。ただ、ここに選ばれたプライドと責任感は持ってほしいし、プレー以外の振る舞いの部分も選考で見させてもらいます」
13時半、全日本大学野球連盟監督会・善波達也会長(明治大監督)の檄に対し、一心に聴き入る選手たち。そこには早くも最終エントリー22名を争う無言の火花が散る。
そこで来年のユニバーシアードで指揮を執る横井人輝監督(東海大監督)も「全力をあげて3日間やってもらいたい」と合宿参加選手たちを激励。
話の最後には「2年前、唯一のユニバーシアード経験者だし、東海大でも主将をしている」下石涼太を選手全体のまとめ役、「日米大学野球のメンバーだし、明治大では(侍ジャパン大学代表前主将の)柳裕也からも影響を受けている」齊藤大将を投手陣のまとめ役に指名した後、いよいよ3日間の合宿メニューがスタートを迎えることに。アップ当初はまだ緊張気味だった選手たちも、身体が温まり始めると徐々に声が出るようになり、キャッチボールやノックではお互いに声を掛け合いながら連携を測る姿が見られた。
初日のメインメニューは打者全員が打順に入る変則12イニング制の紅白戦。試合は2対1で紅組の勝利に終わったが、ここでは投手陣の好投が光る。
まずは日米大学野球・侍ジャパン大学代表の左腕・伊藤将司が紅組の先発として2回打者6人から4奪三振と完ぺきな投球を見せれば、紅組3番手の変則左腕・齊藤も優勝した明治神宮大会からの好調を維持し2回を2安打無失点。
一方、白組2番手の近藤弘樹(岡山商科大3年)は最速144キロ、同3番手の草場亮太(九州産業大3年)は最速147キロ。さらに紅組5番手の左腕・東克樹(立命館大3年)も最速146キロを出して2回パーフェクト。「ポイントはバッテリー。外国のチームと対戦する際には制球力のある投手を起用する国と、パワーピッチャーが必要な国を分けて考えなくてはいけない」とユニバーシアードでの戦略の一端を語る横井監督はじめ選考スタッフにとっても、収穫多き紅白戦となった。
最後は明日の雨天に備え48人の共同作業で坊っちゃんスタジアム内野部分にシートを敷き、約5時間の選考合宿初日は終了。11月27日の合宿2日目は午後からドーピング研修会を行った後、約4時間に渡って「侍ジャパン大学代表として自己犠牲がいかにできるか」(横井監督)を見極めるための選考を含めた練習を積む予定である。