日本野球協議会の「侍ジャパン強化委員会」が7月31日、都内で記者会見を開き、侍ジャパントップチームの新監督に稲葉篤紀氏が就任することを発表した。
稲葉篤紀、44歳、背番号は80。「代表監督の話をいただきまして、不安はありましたけど、選んでいただいたみなさまに感謝し、3年後のオリンピックへ向けて自分が何をできるのかという思いが上回りましたので、引き受けました」。やや緊張した面持ちながらも、その言葉は力強く、次第に熱を帯びて行った。
「3年後の東京五輪は、56年ぶりの国を挙げての記念すべき大会でありますし、野球が復活する。そこで金メダルを獲りたい」
選手として出場した北京五輪で4位に終わったことを振り返り、「メダルを獲れずに帰ってきて、もう一度リベンジしたいという気持ちがずっと僕の中にあった。監督として、もう一度リベンジをさせてもらえる。金メダルを獲る喜びをみんなと分かち合いたいと思って引き受けさせてもらいました」と力を込めた。
稲葉氏は、ヤクルト、日本ハムで主力として活躍し、首位打者(07年)、最多安打(07年)、ベストナイン(01年、06年~09年)、ゴールデングラブ賞(06年~09年)などのタイトルを獲得。通算2000安打を達成するとともに、日本代表としても08年の北京五輪に続き、09年、13年のWBCに出場した。そして14年限りで現役から退いた後は、侍ジャパンの打撃コーチとして今年3月のWBCを戦った。
監督選考に当たり、「目標を2020年五輪金メダルに絞った」と話した井原強化委員長(NPB事務局長)。その判断基準として「求心力」、「短期決戦対応力」、「国際対応力」、「五輪対応力」の5つの条件を挙げ、過去の7人の代表監督からヒアリングなどを行ったことも明かした。その上で、「稲葉氏は選手として五輪も経験。その豊富な国際経験を重要視した。小久保監督の野球を継続発展して金メダルを獲得できる人」と厚い信頼を寄せた。
また稲葉監督の就任と同時に、監督をサポートする強化本部の新設を発表し、本部長に山中正竹氏が就任したことも発表。山中氏は法政大から住友金属へと進み、コーチとして1988年のソウル五輪、代表監督として1992年のバルセロナ五輪でともにメダルを獲得。強化本部長として「選ばれたメンバーがそれぞれ持てる最高のパフォーマンスを発揮できるように可能な限りのサポートをしたい」と抱負を述べ、稲葉監督に対しても「フィールドマネージャーに専念できるように全力でサポートして参りたい」と約束した。
稲葉ジャパンの初陣は、24歳以下の(オーバーエージ3人)メンバーで戦う「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」(11月16日~19日、東京ドーム)となる。この日、対戦カードも発表され、日本は11月16日の初戦で韓国と対戦し、中1日で18日に台湾と戦う。上位2チームが19日の決勝戦へ進む。
最大の目標は、東京五輪での悲願の金メダル。稲葉新監督は「大事にするのはチームの輪、結束力。侍ジャパンの誇りを胸に、これからしっかり戦っていきたい」と決意を語った。8月3日に45歳の誕生日を迎える新指揮官とともに、新生侍ジャパンがスタートする。