「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)に出場している侍ジャパンU-18代表は9月10日(現地時間)、カナダと3位決定戦を戦う。今大会10日間で9試合目であり気力、体力とも厳しいコンディション。悲願の「世界一」は逃したが、何としても銅メダルを日本へ持ち帰りたい。
8月22日の国内合宿からスタートした高校日本代表。清宮幸太郎主将(早実)以下、この20人の侍ジャパンでゲームをするのは、10日が最後である。また、優勝した昨年のアジア選手権(台湾)から引き続いての指導陣となる小枝守監督、大藤敏行ヘッドコーチ、米澤貴光コーチ、東哲平コーチにとっても、集大成の一戦。息の合った4人。選手20人を束ねるスタッフの信頼関係は、強固であった。
大藤ヘッドコーチ(元中京大中京監督)は、小枝監督の思い描く野球を、最も近い位置からサポートするのが役目だ。常に選手と寄り添って、打撃練習では熱血指導する姿が見られた。試合中は的確な指示を送り、ミスをした選手にはすぐさま心のケアを施す。厳しい言葉の中にも優しさがあった。木製バットの対応に苦労していた中村奨成(広陵)が、カナダとのスーパーラウンドで中前打を放った際には、自分のことのように喜んでいた。
米澤コーチ(関東一監督)は攻撃中、三塁コーチボックスに立って選手たちを鼓舞。今大会、最大の〝仕事〟はオーストラリアとのスーパーラウンドだ。6回表、日本の守りで、一死満塁から左翼への大飛球。三塁走者はタッチアップで生還し、二塁走者は二塁へ戻った。一方、一塁走者は二塁を触塁したが、二塁ベースを踏まず、そのまま一塁へ戻るボーンヘッド。一連のプレーを三塁ベンチから見ていた米澤コーチは猛アピール。「あれを伝えるのに、血管が2本くらい切れました(笑)。よくあることなので、いつも見るようにしています」。この回を1失点による同点(3対3)で食い止め、結果的に延長11回のサヨナラを制す(4対3)大ファインプレーであった。
東コーチ(敦賀気比監督)は投手担当。試合前練習では、打撃投手を買って出ることもたびたびだった。試合中はブルペンに常駐し、救援投手の調整をチェック。「ポート・アーサー・スタジアム」のブルペンは右翼フェンス後方にあり、ベンチとの連絡は大会本部からトランシーバーが手渡されていた。だが「外国人の声が混在し、聞こえづらいこともあった(苦笑)」と、日本とは異なる環境に苦労もあったようだ。継投がカギを握った今大会。特に第1試合(朝9時30分開始)は気温10度以下と冷え込み調整が難しい中でも、小枝監督との連携を密に取っていた。
経験、キャリアとも豊富な3人コーチに支えられた小枝監督(元拓大紅陵監督)は、選手たちの動きをじっと観察。そしてタイミングを見計らって、絶妙なアドバイスを送った。「急造チーム」だからこその気遣いもあった。
「自分のところの選手ならば突っ込んで言えるが、一歩、下がらないといけない場面も出てくる。こちらと本人の考えを合致させる作業。つまり、コミュニケーションです」 昨年のアジア選手権から繰り返してきた言葉は「臆せず、屈せず」。3位決定戦はカナダ。スーパーラウンドでは4対6と惜敗しており、同じ相手に2度負けることはできない。明日は日曜日。多くの地元ファンが詰め掛ける「完全アウェー」で、今度こそ本来の実力を発揮できるか――。真価が問われる最終戦となる。
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ