ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019「日本 vs メキシコ」の第1戦(京セラドーム大阪)に逆転で敗れている野球日本代表の侍ジャパンは、3月10日、同球場で行われた第2戦を6対0で勝利し、1勝1敗で今大会を終えた。
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前夜の悔しい敗戦を受けて、三番・近藤健介(北海道日本ハム)と七番・村上宗隆(東京ヤクルト)以外のメンバーを変えて臨んだ第2戦は、初回に試合が大きく動く。
1回表のメキシコ代表の攻撃を、先発の原樹理(東京ヤクルト)が無失点で切り抜けると、打線がメキシコに襲い掛かる。この日、一番に入った吉川尚輝(読売)がセンター前に運んでトップチーム初ヒットを記録すると、すかさずスチールを成功させる。得点圏に走者を置き、慎重にならざるを得なくなったメキシコ代表先発のマニー・バレダから二番・中村奨吾(千葉ロッテ)、三番の近藤が冷静に四球を選んで無死満塁に。ここで打席に入ったのが、第1戦は先制打含む2安打と当たっている吉田正尚だ。
トップチームで初の四番抜擢を意気に感じた左のスラッガーは、1ストライクからの2球目、146キロの真ん中低めの直球を逃さなかった。「しっかりスイングができました。先制点のチャンスだったので積極的に強く振ろうと思いました」とバットを一閃すると、打球はあっという間にライトスタンドへ。これには稲葉篤紀監督も「素晴らしい打球でした。本当に勝負強い」と絶賛した。
いきなり4点を先制した侍ジャパンはその後も手を緩めない。一死後、六番・大山悠輔(阪神)が四球を選んですかさず二塁を陥れると、二死二塁から今大会初先発マスクの八番・田村龍弘がしぶとく三遊間を破ってさらに1点を追加し、ほぼ試合を決定付けた。
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大量援護を受けて、余裕が生まれた投手陣も見事な完封リレーを見せる。「初回は少し緊張しましたが自分の持ち味であるインコースを投げ切れてよかったです」と先発の原樹理(東京ヤクルト)が2回を1安打のみに抑えると、本拠地の大声援を受けて3回からマウンドに上がった山本由伸(オリックス)は、トップチーム初登板ながら150キロ超の直球を連続で投げ込みスタンドを沸かせた。その山本は4回に連打で一死一、三塁のピンチを迎えるも、ギアを一段階上げて連続三振で切り抜け、後続にバトンを託している。
3番手で5回のマウンドに上がった田口麗斗(読売)、4番手で6回に登板した三上朋也(横浜DeNA)はいずれも得点圏に走者を背負うも、後続をキッチリと打ち取って危機を回避した。ここからは必勝体勢。7回を森原康平(東北楽天)、8回を森唯斗(福岡ソフトバンク)がそれぞれ三者凡退で危なげなく投げ切ると、最後は侍ジャパン常連のクローザー・山﨑康晃(横浜DeNA)が、やはり三者凡退で締めて、侍ジャパンが7人の継投で無四球完封勝利を収めた。
今回の強化試合を1勝1敗で終えた稲葉監督は、「課題も、たくさんの収穫もあった2試合でした」と満足顔。今秋に迫ったWBSCプレミア12、そして金メダル獲得を目指す来夏の2020東京オリンピックに向けて今回招集した選手たちの、さらなる成長に期待した。