「第29回 BFA アジア選手権」の最終選考を兼ねた、「2019 FIBT-YOSHIDA CHALLENGE」に向けての強化合宿・2日目が東京ガスの野球部グラウンド(東京都大田区)で行われた。
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午前中はウォーミングアップとバッティング練習の軽い調整。そして、サインの確認を行った侍ジャパン社会人代表。午後からはこのチームでは初めてとなる練習試合を東京ガスと行ったが、その試合を前に「自チームとジャパンでは目指す野球が違うだろうが、失敗を恐れずに初球から攻めてほしい。そして、1点ではなく、2点3点と奪っていけるようにしていこう」と選手に語った石井章夫監督。この一戦は、攻撃的な野球をテーマに掲げて臨むこととなった。
先制したのは2回表、5番・髙畠裕平(日本製鉄鹿島)がレフトへ豪快なソロホームラン。「ストライクは全部、振っていこうと思っていたところにスライダーが来て、上手く対応することができました。石井監督からは常々『長打を打っていこう』と言われているので、普段は逆方向のライトを狙って打席に立っているのですが、この合宿ではフェンスを越える打球を意識しています」(髙畠)と監督の要望に見事に応える一本だった。さらに3回表には一死一塁から青栁匠(大阪ガス)がヒットでつないで二三塁とすると、2番・小深田大翔(大阪ガス)がライト左へタイムリーを放って2点を追加。序盤は侍ジャパン社会人代表が主導権を握った。
投手陣は先発の瀧中瞭太(Honda鈴鹿)がややコントロールに苦しんだものの自慢のストレートと変化球で緩急をつけて、3回を1失点。二番手の藤井聖(JX-ENEOS)は力強いストレートを軸にした投球で2回を無失点に抑え、上々のアピール。
その後、6回裏に一時、同点に追いつかれたものの、直後の7回表に途中出場の皆川仁(日本生命)が2点適時打を放って勝ち越し。その皆川は9回表にもダメ押しの犠飛を放つと、最後は7回途中に満塁の場面から登板した4番手の嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)が押し出し四球を与えたものの、力のあるストレートで3つの三振を奪う好投を見せ、7対5で東京ガスを下し、幸先の良いスタートを切った。

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
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
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3打点の活躍だった皆川は「周りがチャンスで回してくれたので、自分は自分の仕事をするだけでした」と一言。そして、「佐藤旭主将(東芝)の言葉の通り、侍ジャパンとして勝ちにこだわって、これからも戦っていきたい」と話した。
また、石井監督は「(ホームランを放った)高畠をはじめ、クリーンナップで起用した沓掛祥和(トヨタ自動車)、神鳥猛流(王子)には期待しているので、結果を出してくれて良かった」と話し、2本のタイムリーと1本の犠飛で得点を奪った打線については「やはり『つながり』が大事なので、今日の打順がどのようにつながっていくのかをしっかりと見ることができました」と、思惑通りにテストができたようだ。また、勝ち越し点を奪った7回表の攻撃だが、先頭の稲垣誠也(日本通運)が中前打で出塁したあと、バントを使わず一死から金子聖史(東芝)のヒットでチャンスを広げ、勝利を呼び込んだが、勝負どころで打ってつないでいく戦法も今後は用いられることになりそうだ。
一方、投手陣は4投手で押し出しを含む5つの四球を与えたが、「カウントを悪くする以前に、少しでも甘く入ったら長打を打たれてしまう戦いになるので『一球一球が勝負』ということを伝え、国際大会の厳しさを改めて確認していきたい」と課題を挙げた。
明日、国内合宿の総決算として埼玉西武ライオンズとの練習試合を行う侍ジャパン社会人代表。石井監督は打順の組み替えを明言していることもあり、また楽しみな一戦となりそうだ。