7月17日、東京五輪の1年延期が決まったことに伴い、侍ジャパントップチームの稲葉篤紀監督に契約延長の要請が正式になされ、稲葉監督と井原敦強化委員長によるオンライン会見が行われた。
3月24日に東京五輪の1年延期が決まったものの、新型コロナ禍の中で正式な要請ができずにいたが、このほどNPBより正式な要請がなされた。井原敦強化委員長は契約の1年延長を要請した理由について「2020年東京五輪の金メダル獲得に向けて大きな負担を背負っていただきながらも、プレミア12優勝など一つひとつステップを積み上げてきていただきました」と語った。
その上で稲葉監督は「お受けさせていただくという方向でお話をさせていただきました」と快諾の意向を示し、「五輪の借りは五輪で返す、金メダル獲得という目標に向けて全力疾走していきたいです」と決意を新たにした。
現状では「各球団の方々をお騒がせすることは本意でない」とし、現場での視察ではなくテレビ視聴において選手の動向をチェックしている。選手選考に関してはこれまで通り「プレミア12の選手たちが土台になるということは変わりない」としつつも、「若くて生きの良い選手が出てくれば野球界にとっても良いことだと思います」と柔軟に考えていくと話した。
今後の情勢により、強化合宿や強化試合の開催など不透明な要素は大きいが「それは各国どこも一緒ですので様々な想定をしていかねばなりません」とし、「まず守りから。その次はスピード&パワーということは変わりありません」とこれまで通りチーム作りを進めていくことも強調した。
そして東京五輪で金メダルを獲得し「ファンの皆様と喜びを分かち合いたいです」との展望をあらためて語った。
その他の主な質疑応答
――東京五輪延期を聞いた時の思いはどのようなものでしたでしょうか?
「ニュースを聞く中で“もしかして”という思いはありました。ただ自分でコントロールできないことですので気持ちを切り替えねばと思いました」
――東京五輪の開催自体も危ぶまれておりますが、どのような気持ちでいらっしゃいますか?
「この度、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方にご冥福をお祈りするとともに、罹患された方々、感染拡大によって影響を受けられた全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。こうした想定外の事態の中で引き続き開催に向けて尽力されている組織委員会、日本オリンピック委員会の方々にあらためて感謝を申し上げます。とにかく1日でも早く収束し、選手・大会関係者そのご家族、観戦される皆様の安全や健康が守られる東京五輪が開催されることを願っております」
――7月23日に再び「東京五輪まで1年」を迎えますが、昨年とお気持ちで違いはありますでしょうか?
「気持ちは変わりありません。金メダルという目標は変わりませんし、そこに向けて1年じっくり考える時間をいただいたと前向きに捉えております」
――6月19日にプロ野球が開幕した際にスポーツの力、野球の力を感じた部分はありますでしょうか?
「ずっと試合が観られないというのは初めての経験でしたし、野球に携わってきた人間として寂しい思いはありました。その中で6月に開幕して、ファンの皆さんが喜ぶ姿などを観て、野球はいいなと感じましたし、スポーツの持つ力を感じました。来年の東京五輪はどうなるか分からない部分はありますけども、とにかく金メダルを獲って、皆さんと喜びを分かち合いたいという気持ちになりました」