6月30日、野球日本代表「侍ジャパン」社会人代表の代表候補合宿の大阪開催2日目が行われた。今回は招集メンバーを2組3日間ずつに振り分け、6月26日から28日に実施された東京開催に続いての大阪開催は2日目を迎えた。
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
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
この日は、7月18日に開幕する第93回都市対抗野球大会への出場が決定している、近畿地区の社会人野球を代表する強豪・NTT西日本との練習試合を実施。先日の東京開催2日目の日本通運との練習試合に続く実戦は、両チーム合わせて29安打が飛び交う乱打戦の末、10対10の引き分けとなった。
※合宿通して新型コロナウイルス感染拡大予防のため一般非公開。
先発は船迫大雅(西濃運輸)。ドラフト候補にも挙がるサイドスロー右腕は、持ち味であるボールのキレでNTT西日本打線に立ち向かうも、初回に連打で無死一、二塁のピンチを招き、3番の泉口友汰に被弾。「ボールの強さは悪くなかったと思う」直球を右翼スタンドに運ばれる、悔しい1球となった。
試合開始早々にビハインドを背負うも、すぐさま反撃に転じた。2回二死から、青栁匠(大阪ガス)、望月直也(トヨタ自動車東日本)の連打で得点圏に走者を進め、金子聖史(東芝)、辻本勇樹(NTT西日本)の連続四球で、この試合初得点。これに止まらず、続く福永裕基(日本新薬)が左翼越えの豪快な満塁本塁打を叩き込み、一気に逆転に成功した。
3回には、大阪開催の代表候補合宿で主将を務める北村祥治(トヨタ自動車)の安打を起点にチャンスを作り、逢澤崚介(トヨタ自動車)の適時打、青栁匠(大阪ガス)の犠飛で2点を追加。5回には、4番・石黒凌(日本製紙石巻)の逆方向への一発を含む、中軸3人の連続長打などで3点を加え、個々の打力の高さを見せつけた。
その一方で、先発の船迫以外の投手陣も、都市対抗に向け仕上がりつつあるNTT西日本打線を抑えることに苦戦した。2番手として3回から登板した渕上佳輝(トヨタ自動車)は4回に一発を浴びて1失点、5回から登板した大型左腕の森田駿哉(Honda鈴鹿)は登板直後に二塁打、本塁打の連続長打を許して2失点を喫した。
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
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
5回終了時のグラウンド整備を挟んでも、NTT西日本打線の勢いは衰えず。6回には岩本喜照(日本新薬)がソロ本塁打を浴び、7回から5番手としてマウンドに上がった菊池大樹(四国銀行)は4長打を許しての2失点。最大6点差あったリードは、わずか1点となった。
8回は佐竹功年(トヨタ自動車)がベテランの味を見せ、三者凡退に打ち取り、1点差のまま迎えた9回は嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)がクローザーとして登板。逃げ切りを図ったが、一死後に泉口にこの試合2本目の一発が飛び出しNTT西日本に追い付かれる。延長戦はないため、この時点で勝利はなくなったが、嘉陽が立ち直り、後続を封じて試合終了。10対10の引き分けとなった。
あと一歩で白星を逃す形となったものの、石井章夫監督は「テーマに置いている長打を狙って打ってくれた。そういう意味では内容は良かった」と、晴れやかな表情で試合を振り返った。印象に残った選手を聞くと、「福永くん、鈴木(聖歩、JR東日本東北)くんの1、2番」と回答。鈴木については「追い込まれてからも強く振っていける。福永くんとともに能力の高さを感じた」と、5打数1安打の結果以上に打席での姿勢を評価した。
明日7月1日で大阪開催の合宿も終了。所属先との激戦を終えた藤井健平(NTT西日本)は、「打撃の感覚について質問したい選手がたくさんいる。最終日まで積極的に動いていきたい」。最終日も参加選手たちは、合宿での更なるレベルアップを模索する。
選手・監督コメント
石井章夫監督
「相手はしっかり振ってくるチーム。ベース上で勝負して打たれるのは仕方がないと思っていました。この試合は、勝敗以上に内容と思いながら、やっていました。攻撃だけでなく、先発した船迫くん、最後に登板した嘉陽くんを中心にボールに勢いがあることを見せてくれたので、攻守とも内容には満足しています」
北村祥治(トヨタ自動車)
「(4安打の活躍)一番手応えがあったのは、9回の最終打席。アウトコースを強く叩く練習を積み重ねていて、それができました。国際大会ではベース板の上(ストライクゾーン)で勝負してくる投手が多いので、若いカウントから、初球から打っていく意識を持っていました。どこからでも得点ができる、二死からでも得点できるチームだと今日の試合で感じたので、そこを強みにしていければと思います」
福永裕基(日本新薬)
「(2回の本塁打について)打ったのはインコースの真っ直ぐでした。切れずに飛んでくれたんでよかったと思います。真っ直ぐ狙いで、狙い球が来たんですが、欲を出さずに力感なく打てました。代表候補合宿で緊張感があったんですけど、そういう中で自分の力を発揮できたのは自信になりました。まだ話せていない選手もたくさんいるので、最終日はもっともっと積極的にコミュニケーションを取って、勉強していきたいです」