9月26日、第19回 アジア競技大会(野球競技は10月1日から7日/中国・杭州)に出場する侍ジャパン社会人代表の直前合宿2日目が埼玉県の浦和ボールパークで行われた。この日は社会人野球の強豪・日本通運との練習試合を実施。直前合宿では唯一組まれた練習試合で、社会人代表の強力打線が爆発し12対4で快勝した。
試合が動いたのは2回表、ドラフト候補にも挙がる相手先発右腕・古田島成龍から佐藤竜彦(Honda)の安打や四球からチャンスを作り、中村迅(NTT東日本)がライト前にタイムリーを放って先制に成功した。
投手陣は先発のマウンドに上がった堀誠(NTT東日本)が2回を無失点に抑えて試合を作る。3回に2番手の加藤三範(ENEOS)が楠本晃希に2ランを打たれて逆転を許してしまうが、4回表にすぐさま打線が反撃。佐藤の安打と四球でチャンスを作ると笹川晃平(東京ガス)が左中間を破るタイムリーを放って逆転に成功した。さらに続く下川知弥(NTT東日本)の犠飛でもう1点を追加。4対2として、以降は4回裏を持ち直した加藤が無失点に抑えると、その後は岩本喜照(日本新薬)が2イニングを無失点で繋ぎ、侍ジャパン社会人代表が試合の主導権を握った。
試合を決定づけたのは佐藤だ。7回に途中出場の向山基生(NTT東日本)の犠飛で1点を追加すると、続く佐藤が打った瞬間に本塁打と分かる豪快な3ランを放ち、8対2とリードを広げた。さらに、8回裏に渕上佳輝(トヨタ自動車)が2ラン本塁打を打たれた直後の9回表には、今度も佐藤が打った瞬間にベンチから歓声が挙がる豪快な満塁本塁打。4番で起用されたこの試合で、5打数4安打7打点2本塁打の大暴れとなった。
2019年の第29回 BFAアジア選手権から中軸を打ち、今年は自チームで出場機会を減らしていてもなお4番で起用され続けている。「それだけの力がありますから」という石井章夫監督の期待に応え、アジア競技大会での活躍も大いに期待させる打棒を見せた。
「10点を目指す」が合言葉となっている打線が、この日は12安打で12得点。石井監督は「彼らが本来の力を出してくれれば、それくらいの得点力があると思います」と手応えを語った。また、「日本通運さんに140キロ後半から150キロを超える投手を4人起用していただき、アジア競技大会を前にそうした投手と対戦できて良かったです」と感謝した。
10安打を打たれながらも、加藤と渕上が浴びた2ラン2本のみの4点に留めた5人の投手(前述の4人に加え、最終回はHonda鈴鹿の森田駿哉が登板し無失点で締める)については、「投手陣はかわしていくということより力で抑え込んでいくことがテーマ。順調に仕上がっていると思いますし、向かっていく姿勢がありました」と、内容については満足しているようだった。
この日のバックネット裏には韓国代表スタッフが偵察していたが、「観に来ていただけて光栄です」と笑みを浮かべ「良い試合をしてアジアのレベルが上がる大会にしたいですね」と抱負を語った。
直前合宿最終日となる27日も浦和ボールパークで練習が行われる。石井監督は「コンディショニングを高めたい」と話すように、1994年の第12回大会(広島県開催)以来の金メダル獲得に向けて大切な時間となりそうだ。
選手コメント
笹川晃平(東京ガス)
「(代表経験豊富で)古参なので良い思いをしたいですし、石井監督に良い思いをしてもらいたいです。アジア競技大会は慣れない環境になりますが、負担をなるべくみんなで共有していきたいです。石井監督のもとでバントをしないことなど新しい野球にチャレンジしているので、その精度を高めた野球ができるんじゃないかと思います」
佐藤竜彦(Honda)
「追い込まれていても自分のスイングをすることが売りなのでフルスイングできました。(韓国やチャイニーズ・タイペイのトップ選手を含む投手陣に対して)そうした投手を常に意識しながら試行錯誤をしてきたので、その集大成として結果を残したいです。高めの速いストレートをしっかり振っていくことが鍵になると思います」
第19回 アジア競技大会
大会期間
2023年10月1日~10月7日
セカンドステージ(グループA)
10月1日(日)13:00 フィリピン 0 - 6 日本
10月2日(月)19:30 日本 18 - 0 ラオス
10月3日(火)19:30 日本 0 - 1 中国
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
スーパーラウンド
10月5日(木)13:00 韓国 2 - 0 日本
10月6日(金)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
3位決定戦
10月7日(土)13:00 中国 3 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
開催地
中国(杭州)
出場する国と地域
日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、中国、フィリピン、
香港、タイ、シンガポール、ラオス