9月3日に韓国・釜山で開幕する「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」。5連覇へ向けて、神奈川県内で3日間に及ぶ最終合宿中の侍ジャパン女子代表。8月30日の2日目は台風の影響により低い雲が垂れ込めた中で始まった。
アップを始めたところで雨が本降りになったため、前半は敷地内の室内練習場に移動して行われた練習は、鬼ごっこで体と心をほぐすなどのアップを行った後、野手陣はバッティング練習へ。大倉孝一監督、清水稔コーチ、中島梨紗コーチがバッティングピッチャーを務めたりトスを上げたりしながら、一人一人に声をかけ、気持ちを盛り上げる。
この期待に応えんと、選手たちは鋭い眼光と共に快音を響かせるだけでなく、大会5連覇への肝とされるであるバント、スクイズの練習にも怠りなく取り組んでいた。
一方の投手陣は、雨が小降りになってきたところでグラウンドへ。キャッチボールを行った後、投手陣のチームリーダー・里綾実(兵庫ディオーネ)を中心にランメニューに移行。チーム最年少の清水美佑(埼玉栄高3年)も先輩たちに交じり、堂々としたふるまいで各種メニューをこなしていた。
練習開始から1時間半後には、雨脚も完全に弱まりグラウンド状態も回復。侍ジャパン女子代表の選手たち総出でグラウンド整備を行った後、後半は予定通りのメニューを消化していく。
シートノック後、ケースバッティングのメインテーマは守備位置やピッチャーのカバーなどの守備面。最後はスクイズと走塁。大倉監督も走者としてプレーする選手の後ろに付き、プレーが行われるたびにコーチや監督・選手同士で話し合い。細かい部分まで念入りな確認が繰り返された。指揮官はその意図をこう語る。
「ヒットを積み重ねて得点を奪うというのは、ピッチャーが良くなれば良くなるほど難しくなる。だからヒット以外でも進塁を狙うんです。これは選手たちにも浸透しています」
加えてこの日は過去の大会直前合宿同様に「大会に一度、あるかないか」というレアケースで使うトリックプレーの練習も。
「滅多にやらないし、出す機会はないかもしれないけれど、準備だけはしておきたい。頭の片隅に置いておいてもらえればいいし、このサインが出た時は腹をくくってくれ。俺も覚悟をして出す!」
大倉監督の包み隠さぬ言葉に選手たちの顔も真剣さを帯びていった。
練習後、木漏れ日から光が差すグラウンドを見つめながら大倉監督は少し安堵の表情で第2日の練習を振り返る。
「明日は細かい部分はやらず、コンディショニングを大事に簡単な練習をしたいと思っていたので、今日グラウンドが使えて本当に良かった。細かい確認は実際にやらないとわかりませんから」
明日、8月31日はいよいよ強化合宿最終日。「きめ細かい野球」の肝を入れ、いよいよ臨戦態勢に入った侍ジャパン女子代表は、大会5連覇へのラストピースを入れにいく。
里 綾実選手(兵庫ディオーネ)ピッチング紹介動画
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会概要
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ 出場選手(2016年7月10日発表)
大会期間
2016年9月3日~11日
オープニングラウンド
9月3日(土)19:00 カナダ 2 - 8 日本
9月4日(日)14:00 日本 12 - 0 オランダ
9月5日(月)14:00 日本 18 - 0 インド
スーパーラウンド
9月7日(水) 14:00 ベネズエラ 2 - 7 日本
9月8日(木) 19:00 日本 10 - 0 チャイニーズ・タイペイ
9月9日(金) 19:00 日本 10 - 0 オーストラリア
9月10日(土)14:00 日本 6 - 0 韓国
決勝
9月11日(日)18:00 日本 10 - 0 カナダ
会場
韓国釜山広域市キジャン郡
侍ジャパン女子代表候補 マドンナジャパン座談会
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【第3回】マドンナを目指す全国の野球女子たちに伝えたいこと