今年10月2日(月)~8日(日)に台湾で8つの国と地域が参加して開催される「第28回BFAアジア選手権」で2大会ぶりの王座奪還を目指す「侍ジャパン社会人代表」。参加24名選考への第一関門として、千葉県柏市にあるJR東日本野球部柏野球場に51名の選手が集結し、4日間にわたって行われた第一次選考合宿は6月25日(日)、JR東日本とのオープン戦による最終日を迎えた。
実はこの合宿中、侍ジャパン社会人代表・石井章夫監督は攻撃面であるテーマを選手たちに課していた。それは「昨年(社会人選抜で参加したワールドベースボールチャレンジ)、一昨年(第27回BFAアジア選手権)に敗れ、そのなかで何が足りなかったのかを検証した」結果、勝利への最短距離となる「バントを使わずに無死一塁からチャンスを拡大させること」である。
さらに、石井監督は具体的手段も第一次選考合宿参加選手たちに明示していた。それは「機動力」と「長打力」の2つ。これに対し選手たちは見事に対応し、「機動力」を多用した前日の紅白戦に続き、この日のオープン戦で「長打力」の引き出しを開けた。
初回は原田拓実(日本生命)がライトへ先制ソロを放ったのに続き、2回裏には仮谷優人(NTT西日本)がレフトポール直撃のアーチで2点目。3対3の同点で迎えた8回裏には満塁から北村祥治(トヨタ自動車)の勝ち越しタイムリーに続き、「自分の強みでアピールできると思っていた」菅野剛士(日立製作所)が豪快なグランドスラム。8点中7点が本塁打という豪打を見せつけた。
侍ジャパン社会人代表候補は投げても先発の鈴木健矢(JX-ENEOS)が初回の二死満塁を切り抜けると3回を無失点。3番手・今崎淳次郎(室蘭シャークス)、4番手・猿渡眞之(大阪ガス)、5番手・増渕雅也(信越硬式野球クラブ)も無失点でしのぎ、最終回は鈴木博志(ヤマハ)が無死満塁のピンチを封じた。
試合終了後、侍ジャパン社会人代表第一次選考合宿参加51名は軽いミーティング。最後は前回大会主将の実績を買われ、この第一次選考合宿でもリーダー役を務めた渡邉貴美男(JX-ENEOS)が「人数は多かったけれど、気持ちはひとつ」と言葉を掛け、一本締めで合宿を締めた。
「選手には『この合宿で自分を表現してほしい』という要望を出したのですが、しっかりと応えてくれました。二次合宿には、7月の都市対抗野球の結果を踏まえ、実力はもちろん、勢いのある選手や気持ちの切り替えが早く粘り強い選手をを選びたい」と充実の表情で第一次選考合宿を振り返った石井監督。この後、侍ジャパン社会人代表は8月4日(金)から4日間、札幌スタジアムで開催される第二次選考合宿で再招集。参加人数が30名ほどに絞られた中で、アジア王座奪回へのチーム確認事項も採り入れていく。