「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)に出場している侍ジャパンU-18代表は9月4日、オランダとのオープニングラウンドを3対1で勝利した。通算成績を3勝1敗とし、グループB3位以上を確定させ、スーパーラウンド進出を決めた。
日本の先発は中2日で徳山壮磨(大阪桐蔭)。4回裏に先制を許すも、5回1失点で試合を作った。1点を追う日本は6回表、先頭の丸山和郁(前橋育英)が二塁内野安打で出塁すると、すかさず二盗。西巻賢二(仙台育英)のバントヒットで一、三塁とすると、相手投手の一塁悪送球で同点に追いつく。なおも、藤原恭大(大阪桐蔭)が左前打で続き、一、三塁。打者・小園海斗(報徳学園)の際に一走・藤原がけん制死(小園は中飛で二死)も、三番・安田尚憲(履正社)の2球目が暴投となり、相手ミスで逆転に成功した。8回は藤原の適時打で貴重な追加点。6回から救援した田浦文丸(秀岳館)は4イニングで9奪三振。9回裏は四球と失策で二死一、二塁のピンチも、落ち着いた投球で最後は投ゴロに抑えた。
アメリカ、キューバ、そして、この日が3連投の田浦がマウンドで仁王立ちだ。3試合で計9イニングを投げ無失点。19奪三振と相手打者をまったく寄せ付けない圧巻のピッチングを続けている。左打者にはスライダー、右打者にはチェンジアップと外角へ逃げていくウイニングショットが効果的だ。そして、変化球待ちと察知すれば、マスクをかぶる古賀悠斗(福岡大大濠)が巧みに内角真っすぐを要求。まさしく的を絞らせない投球であり、オランダの打者は完全に崩されていた。
「皆、必死にやっているので、抑える気持ちで頑張った。3連投?前々から言われていたので、特に緊張することなく、日本でも経験している」。大舞台でもいつもの力が発揮できるのは、2年春から4季連続で甲子園に出場した経験が大きいという。
「(日本と比べて)あまり変わらない。いつも通り腕を振っている。後ろに良い投手がいるので、1回でつぶれていいと思っている」。淡々と話す口ぶりは昨年、アジア選手権(台湾)で優勝の原動力となった同じ左腕リリーバーの堀瑞輝(広島新庄→日本ハム)を思い起こさせる。
田浦はカナダへの到着時(8月28日夜)、スーツケースが届かず、メンバー20人で手元に来たのが最後(30日朝)だった。2日間、同じ下着を着る羽目となり「ついてない?そうですね」と開幕前は野球以外の部分で話題となる場面が多かった。しかし、今や侍ジャパンU-18を支える絶対的リリーバーだ。"野球の神様"は田浦を見捨てなかった。
監督・選手コメント
小枝守監督
「先に1点を取られて重いゲームだった。今日の試合は落とせない。安定感を買って徳山を先発起用した。1点で抑えたのは立派です。田浦を最後まで行かせたのは、流れを切りたくなかったから。昨年の(アジア選手権優勝に貢献した)堀(瑞輝、現日本ハム)とダブる。堀には速いスライダー、田浦は制球が良く、チェンジアップという決め球がある。僕の野球には必要。(スーパーラウンド進出)10あるうちの3くらいしか持ち味が出ていない。昨日よりも今日、今日よりも明日、と言い合っています」
清宮幸太郎主将
「厳しい試合だったが、チャンスを作って相手のミスで点を取れたので、自分たちがもぎ取った点だと思う。(左中間二塁打は)自分らしい当たりだった。注意してきたのは体を開かないことと、トップの位置が入り込まないように、あとは力を抜いた。だんだん上がってきているのかな?と思う。スーパーラウンドへ向けて良い流れでいけるように、ミーティングで話し合って次に臨みたい」
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ