稲葉ジャパンが2対0の完封勝利 先発・千賀滉大は6者連続三振の離れ業
2018年3月3日
ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018「日本vsオーストラリア」の第1戦が3月3日、ナゴヤドームで行われ、侍ジャパンが2対0でオーストラリア代表に勝利を収めた。
稲葉篤紀監督が就任してから、初めて行われる年齢制限のないトップチームでの試合。先発ラインアップには一番・秋山翔吾(埼玉西武)、二番・菊池涼介(広島東洋)、三番・柳田悠岐(福岡ソフトバンク)、四番・筒香嘉智(横浜DeNA)と、上位に侍ジャパン常連のメンバーを並べ、必勝体制を敷いた。
しかし、稲葉篤紀監督が「この時期は投手のほうが仕上がりが早い」と話したとおり、試合は投手戦へとなだれ込む。6回表まで互いのスコアボードには「0」が並んだが、流れを作ったのは侍ジャパン先発の千賀滉大(福岡ソフトバンク)の圧巻のパフォーマンスだ。1年ぶりの代表招集ながら「国際経験も豊富ですし、トップチームの初戦。しっかり彼に投げてもらいたい」と指揮官から送り出されていた右腕は、見事な結果で応えてみせる。
初回、オーストラリア代表の一番・ジョージを149キロの直球で空振り三振に仕留めると、二番のケネリーには落差の大きい132キロのフォークで、続く三番のヒューズには150キロ直球と、三者連続空振り三振で最高の立ち上がり。2回も四番のカンディラスから六番のデサンミゲルまで再び三者連続三振。これにはオーストラリア代表のフィッシュ監督も「彼はいいものを持っている。私が見てきた中でも優れた投手の1人。三振を6つ続けて取るなんて……。すごいと思いました」と脱帽するしかなかった。
6三振でマウンドを降りた千賀滉大は「普段通り緊張感なく入れました。ストライクが入って安心しました。無失点でと思っていましたが、それ以上にいい結果だったので良かったです」と冷静に振り返っている。
後を受けた2番手の今永昇太(横浜DeNA)、3番手の東浜巨(福岡ソフトバンク)はヒットこそ許したものの、後続をしっかりと断ち、ともに2回を無失点に切り抜ける。試合が動いたのはその直後、6回裏だ。オーストラリア代表の先発左腕・ブラックリーこそ最後までとらえることができなかったが、2番手・ケントの立ち上がり、侍ジャパン先頭の一番・秋山翔吾が粘った末に13球目を選んで四球で出塁。手堅く菊池涼介が送ると、ここまで2三振の柳田悠岐が見せる。「2三振していたので、自分にプレッシャーをかけて。前に飛べ!と思っていました」と初球ストライクの後の2球目を逆らうことなくセンター前へ。二塁走者の秋山翔吾が快足を飛ばして生還し、待望の先制点を侍ジャパンが手にする。実に3年ぶりの代表戦で、見事に仕事を果たした柳田悠岐は「いいところに飛んでくれて良かったです」と満面の笑みだ。
攻撃の手を緩めない侍ジャパンは、なお一死二塁と続く場面で四番の筒香嘉智がライトの頭上を越えるタイムリー二塁打。「ピッチャーの方が良いリズムを作ってくれて、柳田さんが先制タイムリーを打ってくださったので、楽な気持ちで打席に入れました」と冷静に振り返り、「四番を打たせてもらっているので、責任がありますし、それなりの結果を残さないといけません」と、第2戦に向けて気を引き締めていた。
侍ジャパン投手陣にはこの2点で十分。7回を地元・中日の田島慎二が打者4人で抑え、8回は岩嵜翔(福岡ソフトバンク)が味方エラーで二死二、三塁のピンチを背負うも、三番のヒューズをショートゴロに打ち取って見事なカバー。最後は侍ジャパンのクローザー・山﨑康晃(横浜DeNA)が3人でピシャリと抑え、初戦を白星で飾った。
地元・愛知での初采配でもあった稲葉篤紀監督は、オーストラリア打線から計16個の三振を奪い、散発4安打に抑えた投手陣について「千賀(滉大)はさすが。投手それぞれが特徴を出し切って抑えてくれた。今後にも必ず生きると思います」と賛辞を送り、攻撃陣についても「粘って、粘って、勝ち切った」と収穫を挙げている。
翌4日は京セラドーム大阪(19時試合開始)に舞台を移してオーストラリア代表との第2戦を戦う。侍ジャパンは昨季のパ・リーグの奪三振王・則本昂大(東北楽天)、オーストラリア代表はティモシー・アサートンが先発する予定。「明日も勝てるように頑張りたい」と稲葉篤紀監督。内容、結果のともなった連勝で締めくくりたいところだ。