6月18日、侍ジャパン大学代表の選考合宿2日目が神奈川県平塚市のバッティングパレス相石スタジアムひらつかで行われ、午前8イニング・午後5イニングの紅白戦で候補選手たちが代表入りをアピールした。
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最初に高い実力を示したのが、今秋のドラフト上位候補に挙がる細野晴希(東洋大)だ。紅組の先発として登板し「1番打者からみんな4番打者のような力のある打者が並んでいたので、いつもとは違う雰囲気がありました」と独特の緊張感を感じたようだが、この日の左腕最速である153キロを記録した力強いストレートに、キレのある変化球を織り交ぜて1安打4奪三振で無失点に抑えた。
昨夏の選考合宿は東都大学野球の1部2部入替戦と日程が重複し参加できなかったが、12月の候補選手強化合宿に続き参加。世代トップレベルの選手たちと様々なコミュニケーションを交わし「他の投手と変化球やトレーニングの話をして、楽しく過ごしています」と充実の時間を過ごしているようだ。
さらに午前中の紅白戦では、技巧派右腕の村田賢一(明治大)が打者7人から5奪三振、サイド右腕の松本凌人(名城大)が1人の走者も許さない投球を見せるなど、ドラフト候補に挙がる4年生を中心に好投が目立った。
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
そんな中、今月上旬の全日本大学野球選手権で優勝を果たした青山学院大の4番打者・西川史礁がバットで大きな存在感を示した。
第3打席で、この日左腕で細野に次ぐ151キロを投じた古謝樹(桐蔭横浜大)と対戦。インコースを突く力強いストレートでバットを折られたファウルで、2ストライクと追い込まれた状況だったが、「気持ちを切り替え、浮いたチェンジアップに上手く反応できました」と迷いなく振り抜いた。すると、打球は打った瞬間に本塁打と分かる高い放物線を描いてレフトスタンドに飛び込み、2ラン本塁打となった。「完璧でした」と振り返る一方で、「代表入りするために練習してきたので、明日も活躍をしたいです」と、さらなるアピールに向けて油断を感じさせなかった。守備でも高校時代まで守っていた遊撃手としてもノックを受けるなど、攻守で積極的な姿勢が目立っている。
また、青山学院大勢は下村海翔と常廣羽也斗も好投を見せるなど、大学日本一の実力を遺憾無く発揮した。
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大久保哲也監督は紅白戦を終え、細野や青山学院大勢の活躍に加え、盗塁を成功させた飯森太慈(明治大)や天井一輝(亜細亜大)の名も挙げて「イメージ通りのプレーをしてくれました」と繰り返し、期待する選手たちの活躍に目を細めた。
練習後には「侍ジャパン野球健康診断」(※)を実施し2日目の予定が無事すべて終了した。
※侍ジャパン野球健康診断・・・日本野球界には肩やひじの故障に悩む選手が多数おり、少しでも改善するため、NPBエンタープライズがアマチュア野球の代表組織である一般財団法人全日本野球協会に協賛し、日本代表の各世代の合宿などで実施している。
選考合宿最終日となる19日は、6イニング制の紅白戦を午前中に実施し、その後に選考会議を行い「第44回 日米大学野球選手権大会」(日本時間7月8日から13日)に出場する代表26人を発表する予定となっている。
選手コメント
村田賢一(明治大)
「(自己最速150キロを投じ5奪三振)三振が多かったのは初見になる打者が相手だったからだと思いますが、自信になりますし、今日は調子が良かったです。(選出されればパワーのあるアメリカとの対戦になるが)パワーではなく技術で勝負するスタイルは変えずにやっていきたいです」
西舘勇陽(中央大)
「(最速151キロを投じ2回2安打無失点に抑える)無失点で抑えることを目標にしていたので達成できて良かったです。全国から高いレベルの投手が来ているので、自分のレベルアップも目指し、気負いすぎずに投げることができました」
辻本倫太郎(仙台大)
「(この日3安打の活躍)今年は支配下でのドラフト指名を目指していますし、なんとしても2年連続で代表入りしたいので今年も死に物狂いです。(前日には主将役を務め)去年は初めての代表で右も左も分からない状況だったので、今年はそうした選手もやりやすいようにと心がけています」