7月8日、第9回 WBSC 女子野球ワールドカップ グループステージB(広島県三次市で9月13日から17日)に向けた侍ジャパン女子代表の強化合宿の3日目が行われた。広島県三次市にある三次きんさいスタジアムで、午前は2日目と同じく公開練習、午後からは阪神タイガースWomenとのエキシビションマッチが予定されていたが、午後から悪天候が予想されていたため中止に。グラウンドでの公開練習のみが実施された。
選手たちは球場へ向かう前、宿泊先でエキシビションマッチの中止を伝えられた。アジアカップ以上の出場機会を得ようと燃えている星川あかり(淡路BRAVE OCEANS)が「すごく残念だった」と一報を受けた直後の心境を振り返るなど、アピールの場を求めていた選手たちにとっては残念な結果となった。
幸い、午前中は時折雨に降られたものの曇り空が続いたため、グラウンドでの公式練習は予定通り実施された。地元の野球少年と思しき親子連れや、侍ジャパン、代表選手の所属先のレプリカユニホームに身を包んだファンが見守る中、汗を流した。
練習の前半に力を注いだのが、練習初日の昨日には行えなかった内外野のカットプレーの練習。ノッカーを務める福留宏紀コーチが、左中間、右中間、両翼のライン際に鋭い打球を放ち、長打を浴びたケースを想定したカットプレーを確認した。
中島梨紗監督は「人工芝なので、『多少の雨が降っても(本番の試合も)やるよ』という話をしていました」。大会本番が雨中の戦いとなるケースを想定し、選手の動きや球場の特性を注視した。全面人工芝の三次きんさいスタジアムの外野は、「(晴天時よりも打球が)跳ねるなと。そこと内外野それぞれの肩の調子も含めて、連携を詰めてやっていかないといけないと感じます」と中島監督。捕手の英菜々子(埼玉西武ライオンズ・レディース)は、バウンドした送球の勢いを見て、「ワンバウンドでもボールがいく。体勢が悪かったら、正確性を重視してワンバウンドで送球するとか、いつも違う引き出しを頭に入れていきたいです」。指揮官、選手双方が、前日に引き続き、大会の舞台となる球場の特性の理解を深めた。
内外野のカットプレー終了後は、サインプレーを意識したシート打撃、投内連携に時間を割き、1点を確実に取りにいく攻撃、防ぎにいく守りの確認に力を注いだ。英は三本間の挟殺プレーを挙げ、「個人的にも『このタイミングで呼べばいい』など、連携の細かい部分を認識できてきました」と、昨日以上に連携が洗練されていると明かした。
午後に入り、打撃ケージを2カ所に設置してのフリー打撃を行うと、雨脚が強まり、ここでグラウンドでの練習は終了。球場地下にある室内練習場でクールダウンを済ませ、合宿3日目を終えた。
練習終了後、報道陣の前に姿を現した中島監督は「雨の予報で試合がなくなってしまったのは、すごく残念でした」としつつも、「それ(対外試合)以外のやりたかったことはできたので、すごくよかったです」と笑みを浮かべ、前日に続き内容のある練習を重ねられたことへの納得を感じさせた。
エキシビションマッチが当初予定されていた2試合から、明日の1試合に減ったことで、「(起用する選手を)2日間で分けていたので、ここから考えていきたい」と中島監督。コーチ陣とのスタッフミーティングで明日の実戦の起用を練り直す方針であると明かした。
梅雨空に"水を差される"恰好となったものの、工夫を凝らして最大限の準備を進める侍ジャパン女子代表。合宿最終日となる9日は、公式練習の後、読売ジャイアンツ女子チームとのエキシビションマッチが三次きんさいスタジアムで予定されている。
監督・選手コメント
中島梨紗監督
「実は昨日の(交流事業である)七夕イベントに参加させていただいたときに、短冊に私は『晴れますように』と願いを書きました。その通りに昨日は練習ができたんですが、『土日に』と書くのを忘れていて、今日雨が降ったので、『書き忘れました、すみません』とみんなに謝りました(笑)。(フリー打撃では自ら打撃投手を務める)いつもやっていますし、正面から見た方が選手の状態を確認できるので。全体的にバットは振れているので、そこは心配していません。それ以上にバントなどのサインプレーを詰めていければと思います。明日はなんとか、雨の中でも応援してくれるみなさんの前で試合ができたらなと思っています」
堀田ありさ(東海NEXUS)
「アジア大会で課題に上がったストレートでインコースを攻めること、ストライクゾーンの高低を攻めることを意識して今回の合宿に入っています。変化球では9種類ある球種の中で一番苦手なカーブの改良に、投手コーチの磯崎(由加里)さんにアドバイスをもらいながら取り組んでいます。(シート打撃で里綾実/埼玉西武ライオンズ・レディースから豪快な左前打を放つ)球種をしぼらずにストライクゾーンに来た球を打とうと意識していました。いい投手から打てて自信になりましたし、気負わずに自分の打撃ができたと思います」