9月8日、「カーネクスト presents 第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」(広島県三次市で9月13日から17日)に向けた侍ジャパン女子代表の直前合宿1日目が、愛媛県松山市内で行われた。
初日となったこの日は、グラウンドへ出発する前にミーティングが行われた。そこでは中島梨紗監督から「チーム力を磨く」ことをテーマに話がなされた。「チーム力で勝つよ、と話をしているので、初日から意識してほしいという思いを込めた」と、その意図を明かした中島監督。また本戦が日本開催で注目度も高くなっていることを踏まえ、「応援してもらえるように、責任と自覚をもっていきましょう」との言葉も送られた。その後は国際試合へ臨む気持ちや心構えが説かれ、戦略の話題などに移った。
マドンナスタジアムに到着後はグラウンドでウォーミングアップ。笑顔を見せながら数種類のメニューを終え、キャッチボールへ。その後は走者無しや一塁など、状況を想定したシートノックで守備練習へ移行。
サインを確認しながらの投内連係では里綾実(埼玉西武ライオンズ・レディース)、小野寺佳奈(読売ジャイアンツ)の好フィールディングが光った。その一方でミスが出た際にはワンプレーが終わるごとに手を止めて監督から選手へ、また選手同士で言葉を掛け合い、理解を深め合うシーンも見られた。
さらにその後のケースノックでは、投手と内野手が互いの守備範囲を確認。一、三塁前への打球に対してどこまで追うのかを細かく詰めた。一度はメニューを終えたものの、選手が主体となって再び三本間の挟殺プレーを反復。川端友紀(九州ハニーズ)が「全体で確認をした時に選手で疑問点が出たので、そこを詰めて確認しました」と語ったように、問題点を解消するべく練習を重ねた。
主に守備練習が行われたこの日、岩見香枝(埼玉西武ライオンズ・レディース)の好守が幾度も見られ、星川あかり(淡路BRAVE OCEANS)と見事な併殺打を奪うなど堅守を見せた。そして一塁では川端が、三塁では出口彩香(埼玉西武ライオンズ・レディース)とダブル主将を務めるベテラン2人が後輩たちへ積極的にアドバイスを送っており、改めて日本代表の層の厚さを感じさせた。細やかな気遣いを見せたベテランについて、中島監督も「2人を頼りにしている部分がすごくあるので、2人に私が質問して会話をしながら、いいものを作っていけたらいいなと思っているので、本当に2人には感謝です」と信頼を寄せた。
また、この日は野志克仁松山市長が陣中見舞いに訪れた。女子野球タウン第1号であり女子野球と縁が深い松山市。野球が好きという野志市長から、日本代表へ向けて温かいエールも送られ、合宿1日目を終えた。
監督・選手コメント
中島梨紗監督
「まだまだこのチームは完成していないと捉えているので、アジアカップでの経験を生かす、三次でやらせてもらった合宿の内容を生かすという意味で、『チーム力で勝つよ』という話をしています。一人一人がチーム力を磨くという言葉をキーワードに過ごせて行けたらと思い、初日からそこを意識してほしいという思いを込めてそういった言葉をかけました。日本が世界ランク1位ということで、いろんな国が打倒日本という形で臨んでくると思うので、一戦一戦、目の前の試合を勝ち切るための準備をしっかり詰めてやっていきたいです」
川端友紀(九州ハニーズ)
「いよいよ始まるという気持ちでこの合宿に入ってきたので、まだ初日ですが選手のみんなともコミュニケーションを取りながらできたと思います。大会の経験はありますし最年長でもあるので、世界大会の情報などを伝えながら私にできることができたらいいなと思います。せっかくの日本でのワールドカップ開催なので、多くの方に見ていただきたいですし、魅力を伝えられるプレーができたらいいなと思います」
出口彩香(埼玉西武ライオンズ・レディース)
「雰囲気はすごくよかったのですが、監督からは『もっと元気を出していこう』という声ももらったので、みんな(コミュニケーションを)積極的にとったかなと思います。硬さはあったので守備の連係もなかなか声が出ないところもあったのですが、そこはあと2日間でもっと詰めていければと思います。個々がしっかりしているので(キャプテンとして)そこまで意識することはありませんが、ここぞという時にチームが一つになって勢いに乗れるところが日本の野球の魅力だと思うので、大会が始まるまでにはもっと一つになってできるようにコミュニケーションはもちろんですが、チームを勢いづけられるようにしていきたいです」
岩見香枝(埼玉西武ライオンズ・レディース)
「今はベストという状態ではないですが、ベストに持っていくための準備はしっかりしてきたので、この3日間で最後の大詰めをしていかなければいけないと思っているので、気持ちを作っていくところです。守備はそこまで不安はありませんが、走者との兼ね合いやタイミングの問題、最後の打球判断とかを集中的にやっていかないと不安が残ると思うので、しっかりやっていきたいです。私は年齢が上なので、下とのつながりを持ちながらチームワークを作っていくための役割もあると思っているので、しっかりやっていきたいと思います」