9月9日、「カーネクスト presents 第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」(広島県三次市で9月13日から17日)に向けた侍ジャパン女子代表の直前合宿2日目が愛媛県松山市内で行われた。
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
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
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
この日、水流麻夏(阪神タイガースWomen)が怪我のためチームを離れるという悲しいニュースが届いた。追加招集となった泰美勝(ZENKO BEAMS)は練習中に合流。チームメイトが温かく迎えチーム力を深めていった。
前日はサインプレーなど守備練習をメインに行ったが、この日はおよそ3時間半、全体練習を行った後、松山市中学生選抜チームとの練習試合に臨んだ。
13日からのグループステージを見据え、この合宿期間中は午後から練習を開始し、ナイター設備の下で練習や試合を行っている侍ジャパン女子代表。中島梨紗監督が「今日は集合してアップの一発目から元気もよかった」と振り返ったように、いい雰囲気でウォーミングアップからスタートし、キャッチボールと進め体をほぐした。
その後は一、二塁間と三本間を想定した挟殺プレーに取り組んでいたが、途中、選手たちを集めた中島監督から、観客が入った試合を想定し「大きく声を出すこと」など指示がなされて再開。先ほどよりも大きい声を出してプレーを確認しあった。
続くけん制のメニューでは、一塁から三塁すべてへのけん制を想定し、幾度もプレーを重ねた。その際には経験豊富なベテラン里綾実(埼玉西武ライオンズ・レディース)が他の投手に身振りを交えてアドバイスを送るなど、充実した様子だった。
その後は屋内練習場からマドンナスタジアムへと場所を移動。ランナーやアウトカウントなど、様々なケースを想定し、サインの確認をしながら行った投内連係には多くの時間が割かれた。
そしてバッティング練習では、中島監督が打撃投手を務めるなどし、選手たちは約1時間の練習でバッティングの感覚を確かめた。

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




ナイトゲームで行われた松山市中学生選抜チームとの練習試合はコールドなし、3回と7回には無死一、二塁のタイブレークが適用される特別ルールの下行われた。
この一戦は小野寺佳奈(読売ジャイアンツ)と村松珠希(はつかいちサンブレイズ)のバッテリーが先発出場。初回、2死から四球を与え二盗を許したものの無得点に抑える。
するとその裏、2死から四球で出塁した川端友紀(九州ハニーズ)が暴投で一気に三塁を陥れてチャンスを広げ、続く楢岡美和(九州ハニーズ)がレフト前へタイムリーを放ち先制した。2回には2失策で同点とされた裏に田中美羽(読売ジャイアンツ)のスクイズがタイムリー内野安打となり勝ち越しに成功。一塁から一気にホームを狙った出口彩香(埼玉西武ライオンズ・レディース)はアウトになったが、「アウトになってもいいからどんどん(先の塁を)狙ってみようという話をしていたので、すごくいいチャレンジだったと思います」と、中島監督は積極性を評価した。
タイブレークとなった3回には内野ゴロの間に1死一、三塁とされ、犠飛で再び同点とされる。
対する侍ジャパン女子代表も捕逸で無死二、三塁とすると、川端のスクイズで三度リードを奪い、続く4回には小島也弥(九州ハニーズ)のスクイズで4対2とリードを広げる。
5回は無死二塁から、先制タイムリーの楢岡が一球で犠打を決めたが得点には至らず。4回から登板した堀田ありさ(東海NEXUS)は、2イニングスともに走者を得点圏に背負ったが、要所を締めて無失点に抑えた。
6回からは坂東瑞紀(阪神タイガースWomen)が登板したが、2死無走者からヒットや暴投などでピンチを招くと、タイムリーを浴びて1点差とされる。さらに今試合2度目のタイブレークとなった7回にヒットで1死満塁とされると、3点タイムリー三塁打などで一挙4点を失い逆転を許した。
その裏、侍ジャパン女子代表は四球で無死満塁とし、三浦伊織(阪神タイガースWomen)が犠飛を放ったが、後続が倒れて5対7で敗れてしまった。だが時間をかけて練習をしたサインプレーを実践できたこともあり、収穫は十分。同時に課題も得るなど、充実の合宿2日目を終えた。
監督・選手コメント
中島梨紗監督
「相手の中学生が本当に上手ですごくいい練習ができました。ここでやるべきことをすべてやり切って三次に入れるように、今日の反省点やよかった点も含めて整理して、いい形で最終日に臨めるように準備をしたいです。(泰投手は)若くてまだ経験も浅いのですが、水流と同じ左投手ということもありますし、真っすぐと変化球の切れもよくて連投も効く体が丈夫なところと、いろいろ力を兼ねそろえています。いかに早くチームになじめるかが一番の心配要素ですが、そこくらいしかありません」
小野寺佳奈(読売ジャイアンツ)
「ヒットも打たれず低めにいい球が行っていたので状態はいいかなと思います。2アウトから四球を出してしまったことと、タイブレークで外野に運ばれてしまったので、低く投げて内野ゴロに打ち取れるようにすることが課題です。(7連覇に向けて)このユニホームを着た以上は勝たないといけないので、まずはチーム全員でどんな形でも勝つことを意識して。日本開催なのでたくさんの方々に女子野球を見ていただけると思うので、魅力を伝えつつ勝っていきたいと思います」
楢岡美和(九州ハニーズ)
「タイブレークやサインプレーなども含めていろいろ確認できたことはよかったと思います。(先制打の打席は)ランナーがいた場面で回ってきたので、とにかく1点欲しい。自分で決めることもありますが、次につなげることも考えつつ負けないように打ち返せたのがよかったです。自チームではバントをしないのですが、このチームではバントがあるとずっと監督から言われていますし、ミスできないというのがあるので常に練習しています。調子も上がってきているので、ここぞの場面で打てればと思います」