ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018「日本 vs オーストラリア」の第1戦(ナゴヤドーム)に勝利を収めた野球日本代表の侍ジャパンは、3月4日、舞台を京セラドーム大阪に移して行われた第2戦も6対0で勝利し、連勝で今大会を終えた。
第1戦から一番・秋山翔吾(埼玉西武)とクリーンアップ以外のメンバーを変えて臨んだ第2戦は、前日の投手戦から一転、侍ジャパン打線が初回からコツコツと点を重ね、投手陣は2戦連続の完封と、投打がガッチリと噛み合う試合となった。
前日の6投手による完封リレーを目の当たりにし、「緊張感がありました」と先発のマウンドに立った則本昂大(東北楽天)だったが、国際経験豊富な右腕は重圧を力に変える。初回を2三振の三者凡退で見事な立ち上がりを見せると、2回は先頭のモアナロアに左中間への二塁打を許したものの、ここで一気にギアチェンジ。五番・デサンミゲル、六番・ウェードと連続で見逃し三振に斬ってとると、「あまり変化球が良くなかったですし、短いイニングでしたので、全部真っすぐでいこう」と七番・シェパードに対しては、150キロ台の直球を連続して投じ、最後はこの日最速の153キロの直球で三者連続見逃し三振。見事にピンチを脱した。
3回からマウンドに登った田口麗斗(読売)は先頭のグレンでイニングにこそセンター前に安打を許したが、打たせてとる本来のピッチングで後続を断ち、2イニングを無失点で堀瑞輝(北海道日本ハム)に託すと、この19歳左腕が圧巻だった。5回から登場すると、2イニング連続3者凡退のパーフェクトピッチング。最後は第1戦では四番を打っていたキャンディラスを空振り三振に仕留め、「緊張せずにしっかりやれたことが大きかった」と満足そうに振り返った。
以降は侍ジャパントップチーム初招集の高梨雄平(東北楽天)、則本昂大に並ぶ最速153キロのパワーピッチングを披露した石崎剛(阪神)がそれぞれ1イニングを3人ずつに抑えてクローザーの松井裕樹(東北楽天)につなぐと、先頭の九番・ジョージに二塁打を許したものの、落ち着いたマウンドさばきで得点を許さず。2戦連続の完封リレーには稲葉篤紀監督も「収穫はピッチャー陣。本当に素晴らしかった。それぞれの持ち味を存分に出してくれた」と手放しで称えた。
一方、第1戦は2得点のみに終わっていた打線は、試合前ミーティングで「初回、初球など、"1"を大事にしよう」との指揮官の指示を受け、初回からオーストラリア先発のアサートンに襲い掛かる。第1戦に引き続き一番に入った秋山翔吾(埼玉西武)が、レフト前に鋭く弾き返して出塁すると、二番起用の松本剛(北海道日本ハム)はさっそくバントの構え。初球をピッチャー前に確実に転がすと、これがアサートンの一塁高投につながり、打者走者も一塁に生きる。この後、四番・筒香嘉智(横浜DeNA)の申告敬遠などもあり、二死満塁とし、六番・上林誠知(福岡ソフトバンク)がピッチャー前への内野安打で幸先よく1点を奪った。
二回には先頭の八番・田村龍弘(千葉ロッテ)の相手エラーによる出塁をきっかけに、九番に入った今宮健太(福岡ソフトバンク)がファウルで粘った末にライト前ヒットでつなぐと、初回はチャンスメークをした秋山翔吾が鋭い打球で一、二塁間を破るタイムリー安打。なおも続く無死二、三塁のチャンスに松本剛が犠飛で、この回も着実に2点を加えた。
攻撃の手を緩めない侍ジャパンは4回には再び田村龍弘、今宮健太の八、九番コンビでチャンスメークし、一死一、二塁から松本剛が二遊間をしぶとく破るタイムリー。6回にはみたび今宮健太がライトへの二塁打で出塁すると、秋山翔吾の左中間を破るタイムリー三塁打、松本剛のライト前タイムリーでダメを押す。稲葉篤紀監督は「下位から上位へのつながり」を打線のポイントに挙げており、この日、九番に起用された今宮健太は2安打2得点、一番・秋山翔吾は5打席すべてで出塁し、3安打2打点2得点、そして二番・松本剛は2安打3打点。八番から始まる攻撃は2回、4回、6回と3度あったが、いずれも得点に結び付けており、見事に結果で応えてみせた。
今回の強化試合を2連勝で終えた稲葉篤紀監督は、2年後に迫った2020年の東京オリンピックに向けて「今回のメンバーが土台になる」と明言。とはいえ今後もペナントレースで活躍した若手を招集しつつ、2020年の東京オリンピックで金メダルを獲得するためにチーム力を高めていくことを誓った。
侍ジャパントップチームの今秋の活動については未定だが、東京オリンピックの前年、2019年にはWBSCプレミア12も控える。今回の収穫と課題を次の活動に生かし、目標である金メダル獲得へと突き進む。