「第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ(8月22~31日、米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表は3日、HARD OFF ECOスタジアム新潟で強化合宿を打ち上げた。
渡米前最後となる練習は、午前8時30分からシートノックや挟殺プレー、けん制など守備に3時間を割いた。サインプレーの精度を高めるとともに、ナイターと人工芝対策を兼ねて行った5日間。無事に締めくくった橘田恵監督は「選手一人一人とサポートしてくれた方々のおかげで、充実した合宿を終えることができました。正直、出来過ぎです」とホッとした表情を浮かべた。
ナイター対策では、選手間の声がけの徹底を図った。先月30日の強化試合では平凡な内野フライを落球する場面が1度あったが、その後はミスはなし。志村亜貴子コーチは「照明の点き始めが見にくくなりますが、誰が行くのか、自分が行くのか、声を出し合うことが重要」と話す。橘田監督は「声がけは良くなって、できていたと思う」と合格点をつけた。
人工芝対策も着々と進んでいる。
この日のシートノックでは、外野手、内野手、捕手ともにワンバウンド送球が目立った。人工芝の特性を考慮し、当初から首脳陣は速さと正確性を求めて、ワンバウンド送球を推奨していた。木戸克彦ヘッドコーチがこの日思わず「ワンバン野球やな」と声を挙げるほど5日間で浸透した。
ワンバウンド送球することで失点を防ぐ可能性も高める。一、三塁を想定した場面、二塁を守る出口彩香主将は通常の中間守備よりも一歩後ろで守った。いつもはツーステップで本塁へノーバウンド送球するが、今回はワンステップで素早くワンバウンド送球。「ワンバウンド送球は体の使い方も疲れ方も違います。送球が安定するし、後ろに守ることができる分、相手のヒットゾーンが狭くなる。すごくいいですね」と好感触を口にした。
ワンバウンド送球と同時に首脳陣が推奨しているのは、逆シングルだ。「土の上では足を滑らせて捕る癖がついていますが、人工芝では足は滑らずに止まってしまうので、細かくステップをして捕球した方がいい。そんなにイレギュラーもないはず」と無理に正面に入ろうとせずに、逆シングルでの捕球を勧める。この日のトス打撃であらためて意識付けを行った。
心配なのは、日本国内には例のない人工芝のマウンド。里綾実投手(愛知ディオーネ)は今合宿中、ブルペンに人工芝を敷いた状態で投球練習を試みた。「(踏み出す左足が)バッと入り込めないですが、それ以外は大丈夫そうです。ただ、バント処理のステップは気をつけないといけない。慌ててボールに入りにいくと、ズルッといきそう。いずれにしても現地に行ってからですね」と語った。
代表メンバー20人が揃って国内で行う最初で最後の合宿で、想定できることは全てやった。あとは渡米してから、試合会場の人工芝で打球のはね方やスライディング時の滑り方を確認して、対応していく。メイン球場以外は両翼80メートルほどで、現地入り後はクッションボール処理の練習も計画している。
締めくくりのミーティングで橘田監督は「大会で起こり得る最悪のシナリオをノートに書いてみて」と選手に宿題を与えた。敵地で行われる大会でどんなアクシデントが起こるかわからない。最悪のケースを想定し、それに対処する方法を考えることで、どんな状況でも戦える図太さを身につけてもらうことが狙いだ。
「6連覇するという気持ちを持って、女子野球を世界と日本から発信できるように一人ひとり頑張っていきましょう」と指揮官は選手に呼びかけた。最後は出口主将の一本締めで新潟合宿を打ち上げた。
第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会期間
2018年8月22日~8月31日
オープニングラウンド
8月22日(水)23:00 日本 8 - 0 ドミニカ共和国
8月23日(木)23:00 香港 0 - 23 日本
8月25日(土)7:00 日本 2 - 1 カナダ
8月26日(日)7:00 キューバ 1 - 4 日本
8月27日(月)7:00 日本 5 - 1 オーストラリア
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
スーパーラウンド
8月29日(水)7:00 日本 3 - 0 アメリカ
8月30日(木)2:00 日本 2 - 1 チャイニーズ・タイペイ
8月30日(木)22:00 日本 10 - 0 ベネズエラ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
決勝
2018年9月1日(土)7:00 日本 6 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
開催地
アメリカ(フロリダ)
出場する国と地域
グループA
アメリカ、ベネズエラ、チャイニーズ・タイペイ、韓国、オランダ、プエルトリコ
グループB
日本、カナダ、オーストラリア、キューバ、香港、ドミニカ共和国