2020年東京オリンピックの開幕をちょうど2年後に控えた7月24日、福島県福島市で「東京2020オリンピック・パラリンピック復興ふくしま推進会議&ふくしま大交流ミーティング【 Tokyo 2020 2 Years to Go!】」が開催され、侍ジャパントップチームの稲葉篤紀監督が出席した。
稲葉監督はソフトボール女子日本代表の宇津木麗華監督、福島県の内堀雅雄知事とともに「ふくしま大交流ミーティング【 Tokyo 2020 2 Years to Go!】」のパネルディスカッションに登場。福島県内の小、中、高校生、一般参加者を前に「世界と戦うトップアスリートを目指して」と題してトークを繰り広げた。
1つ目のテーマは「世界と戦うための極意とは」。稲葉監督は、2008年に選手として出場した北京オリンピックに触れ、「日本はプロを集めて出場し、金メダルを取って当たり前と見られていたが、そこで(4位で)メダルを獲れなくて悔しい思いをした」と振り返った。監督として挑む東京オリンピックについては「僕の頭の中には理想の打順も、こういうピッチャーがいてくれたらというのもある。でも、これはあくまでも現段階。これが2年経って、どういう選手が出てくるか」と期待を高め、「3月に大会があるWBCは前年の11月くらいに選手を決め、一冬を越すため、選手の調子が分からない。オリンピックはその年の調子で選手を決められるのはいい」と選考のプラス面を話した。
年間150日ある合宿を通し、選手への言葉掛けを大切にしていると話した宇津木監督に対し、稲葉監督は「選手とのコミュニケーションが大事になってくる」と語った。「野球は一流選手を集めているので、これをまとめるのは難しい。自チームでは打順やポジションが決まっている。代表に入ったら普段とは違う打順を打たないといけないかもしれない。控えに回るかもしれないし、慣れないポジションを守ってもらわないといけないかもしれない」とし、世界と戦う極意としては「選手が代表に入って、どうしなければいけないかを分かっておくこと」とまとめた。
続いてのテーマ「福島にオリンピックがやってくる」で稲葉監督は「非常に楽しみ。福島の皆さんも楽しみにしてくれていると思う。野球の力で少しでも皆さんを元気にしたい」と意気込んだ。
稲葉監督はこの日、「東京2020オリンピック・パラリンピック復興ふくしま推進会議&ふくしま大交流ミーティング【 Tokyo 2020 2 Years to Go!】」を前に宇津木監督とともに試合会場となる県営あづま球場を視察した。到着するとすぐにあづま球場の完成予想図の前で、福島県のオリンピック・パラリンピック推進室・佐藤隆広室長から球場の改修時期や改修する点などの説明を受けた。あづま球場は今年11月から来年9月にかけて改修工事が行われ、グラウンドが全面人工芝になるほか、ロッカールームやダグアウトなどが整備される。
球場内に足を踏み入れると、宇津木監督とグラウンドを一周し、マウンド付近も確認した稲葉監督。「広くて、緑もあって、風が心地いいと感じた。あとはベンチが広いなと思った。ベンチが広いのは有り難い」と印象を話した。そして、ちょうど2年後に開会式とあって「ここで戦うんだなという気持ちになった」と士気を高めた。
東京オリンピックでは開会式の2日前にソフトボールが先陣を切り、金メダル獲得への戦いが始まる。宇津木監督が「日本選手団に勢いを付けられるようなプレー、ゲームをしていきたい。ソフトボールがしっかり頑張って、野球がやりやすいように、繋げられるようにしたい」と言えば、稲葉監督は「いい流れをいただきたい。ソフトボールも野球も両方で金メダルを獲るというのが一番いい結果。この福島からいい勝ち方をして、しっかりと流れを作って金メダルを獲れるようにいい準備をしたい」と、福島の地で決意を新たにした。