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充実の直前合宿も最終日 24選手が結束し決戦の地コロンビアへ

2018年10月15日

 第2回 WBSC U-23ワールドカップ(10月19日からコロンビア・バランキージャ)に出場する侍ジャパンU-23代表が10月15日、千葉県内のグラウンドで大会直前合宿最終日の練習を行った。24人の選手たちは約3時間、汗をかき、同日夜間の便で決戦の地・コロンビアへ向けて出発する。

 この日の野手は、ウォーミングアップの後、打撃練習と軽いノックで全体メニューが終了。自主メニューとなって以降、グラウンドは熱気を帯びてきた。最後まで居残ったのは2人。稲葉篤紀監督と19歳の若きスラッガー・安田尚憲だった。指揮官は11日のチーム始動から同じ左打者として気にかけ、安田も「すごくありがたいこと。こういう機会に多くを吸収したい」と、前向きな姿勢で取り組んできた。

 稲葉監督はロングティーに際して、横から投げるのではなく、正面から丁ねいにトスした。実戦に近い形で、コースによってのスイングの軌道を確認。「強いストレートに対して打ち損じてしまうことが課題。バットの出し方、ヘッドの使い方をアドバイスしました。私自身の経験の中で、どういう練習をしたらいいのかを提示させてもらった。あとは、本人がどうつかんでいくか、です」。ここまで熱心に指導するのも、稲葉監督は「安田には聞き入れる素直さを持っているから」と明かす。さらには「彼の成長というのが、これからのプロ野球にも大きな影響が出ると思いますので」と、期待を込めている。

 U-23ワールドカップは10日間で9試合という超過密日程である。オープニングラウンドを5試合戦い(日本はグループA)、上位3チームがスーパーラウンドに進出。スーパーラウンドでは、グループBの上位3チームと戦う。オープニングラウンド進出チームとの直接対決の結果を持ち越した計6試合の結果により、上位2チームが決勝、3、4位が銅メダルをかけた3位決定戦へ進むシステムだ。

 世界一まで9試合。稲葉監督は頂点までの戦いをどう、見据えているのか。
「この予選(オープニングラウンド)がスーパーラウンドに響いてくるので、5戦全勝でいきたいと思っている。(同じA組の)メキシコ、オランダも強い。コロンビア戦は開催国との対戦なので完全アウエーの雰囲気での試合になるので、気をつけないといけない。徐々にロースター(出場選手)も出てきて情報を集めているところですが、大会は1日3試合あるので、現地でデータを収集していきたいと思っています」

 前日の練習試合後に、稲葉監督は「(オープニングラウンドで起用する)先発5人を決める」と語っていたが、建山義紀コーチがこの日、役割分担を言及した。ただ、先発ローテについては戦略上、公にはできないという。

先発投手5人

寺島成輝(ヤクルト)、近藤弘樹(楽天)、種市篤暉(ロッテ)、阪口皓亮(DeNA)、山﨑颯一郎(オリックス)

救援投手6人

櫻井周斗(DeNA)、水野匡貴(ヤマハ)、鈴木優(オリックス)、成田翔(ロッテ)、塹江敦哉(広島)、長井良太(広島)

 先発のケアとして水野、櫻井が待機し、中盤以降は左腕・塹江、鈴木、長井で回していく予定だ。スーパーラウンドの起用は未定で、大会に入ってからの調子や相手チーム、登板間隔などを考慮した上で決めていく。ここで唯一、名前が挙がっていない左腕・成田は当初は中継ぎ待機であるが、大会終盤の先発の可能性も秘めており、稲葉監督も「フル回転してもらうかもしれない」と示唆する。

 首脳陣のプランに、成田は意気を感じている。
「期待していただいている分、応えらえられるような結果を残したいです。どういった場面で出番が来るか分かりませんが、いつ声がかかっても良いように、完璧に準備する。そして、全力でバッターを抑えていく。昨日の練習試合でもストレートで空振りが取れたので、スライダーも交えながら、三振がほしいケースでは狙っていきたいと思います。自分のできることをしっかりやって、大会2連覇に貢献したいです」

 稲葉監督に投打のキーマンを挙げてもらった。
「ピッチャーは皆、レベルが高いので、全員に頑張ってもらいたい。ミーティングでも言いましたが『守り勝つ野球をしたい』と伝えています。投手を中心に守って、攻撃につなげる。これをもう一度、確認し合いたい。野手については四番、チャンスに回ってくるキャプテンの内田選手に期待したいと思う」

 主将として24人を束ねる内田は気合十分だ。13日に公式戦を終え、チーム本格2日目だ。
「指名していただき、チームの中心として引っ張っていきたいと思う。まだ、開幕までは時間がある。しっかりとコミュニケーションを取っていって、良い形で開幕を迎えたい。主将としての仕事? 各チームでやっている役割を果たしてくれれば良いので、自分が特別やることはありません。ゲームの中では、声かけをしっかりしていきたいと思います」

 四番としても、自覚十分だ。
「自分の成績が勝利につながる。一発(本塁打)よりも打点。ランナーがいたら、絶対に返したいと」。内田は入団5年目の今季、開幕一軍で先発出場したものの、シーズン途中は二軍降格も味わった。とはいえ1年間を通じて、一軍で自己最多58試合に出場して12本塁打、25打点とキャリアハイの成績を残した。
「来年は一軍に定着してレギュラーとして出続ける。今年は二ケタ本塁打と一つの目標はクリアしたので、来年は20本、30本と伸ばせるよう、もっと練習して成長していきたい」

 成田が「2019年はすでに、始まっている」と語るように、今回のU-23代表のような若手選手に休息の時間はない。稲葉監督は言う。「こういう年代が、何を考えて練習しているのか、私自身がレベルを知るのも大事なこと。若い世代なので、この機会にレベルアップして、何かをつかんでほしいと思う。私自身も監督として経験を積み、選手とともに一緒に成長していきたいと思っています。同年代で、コミュニケーションも十分、取れている。目標は勝つ。世界一を取るのが大きな目標です」

 日本からコロンビアまでは、2度の乗継で、約30時間の長旅だ。「地球の裏側」で23歳以下の若き侍が、日本の野球を見せつける。

第2回 WBSC U-23ワールドカップ

大会概要 出場選手

大会期間

2018年10月19日~10月28日

オープニングラウンド

10月20日(土)5:00 日本 13 - 0 南アフリカ
10月21日(日)0:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 3 日本
10月22日(月)0:00 日本 7 - 2 メキシコ
10月23日(火)0:00 日本 5 - 0 オランダ
10月24日(水)10:00 コロンビア 2 - 7 日本
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)

スーパーラウンド

10月26日(金)0:00 日本 3 - 2 韓国
10月27日(土)5:00 日本 6 - 3 ベネズエラ
10月28日(日)0:00 日本 4 - 0 ドミニカ共和国
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)

決勝

10月29日(月)9:00 日本 1 - 2 メキシコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)

開催地

コロンビア(バランキージャ)

出場する国と地域

グループA
日本、メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、オランダ、コロンビア、南アフリカ

グループB
韓国、オーストラリア、プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国、チェコ

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