9月17日(日本時間18日)、アメリカ・フロリダ州で開催されている「第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」のスーパーラウンドの第3戦が行われた。前日は川原嗣貴(大阪桐蔭)の気迫あふれる投球でオランダに1対0の5回終了降雨コールド勝ちを収めた侍ジャパンU-18代表は、この試合でも気迫が十二分に伝わる攻防を繰り広げた。
アメリカ戦の前に韓国がメキシコに勝ち、決勝戦進出の望みはなくなり3位決定戦への進出が決まった状況ではあったが、初回から各選手が持ち味を発揮する。
相手先発左腕のジェイク・ブラウンから浅野翔吾(高松商)が四球で出塁すると、続く黒田義信(九州国際大付)の場面で捕手が投球を弾くと、それを見逃さずすかさずに二塁へ(記録は暴投)。黒田はスリーバント失敗、松尾汐恩(大阪桐蔭)のピッチャーゴロに倒れるが、4番の内海優太(広陵)がレフト前に運んで浅野が生還。先制に成功する。
先発のマウンドに上がったのはパナマ戦で5回2失点と好投した森本哲星(市船橋)。2023年のMLBドラフト全体1位候補とも言われるマックス・クラークから始まる打線だったが得意のスライダーで空振り三振を奪うと、その後の二者も抑えて三者凡退と快調な立ち上がりを見せる。
2回は3安打(うち内野安打2本)で2死満塁のチャンスを作るが、松尾が空振り三振に倒れて追加点を奪えず。すると、その裏に森本がアメリカ打線に捕まり2本のタイムリーを許して逆転を許す。
なおも無死満塁という場面で馬淵史郎監督は主将の山田陽翔(近江)をマウンドへ送る。パナマ戦では最終回に登板も追いつかれ、韓国戦では2回途中6失点と悔しい内容の投球が続いていたが「今日こそはなんとか勝利に貢献したいという思いでした」という山田は気迫のこもった投球を見せる。まず最初の打者を浅いライトフライに抑えると、続くクラークはセカンドゴロに打ち取り、二塁手の藤森康淳(天理)も冷静に本塁へ送球しホームを踏ませず。さらに続く打者をセンターフライに打ち取り追加点を許さず、山田は拳を握りしめ声を挙げてベンチに戻った。
すると、直後の3回表、連続四球から作ったチャンスで伊藤櫂人(大阪桐蔭)がレフト線へ運ぶ逆転の二塁打を放って、3対2と一気に逆転に成功した。
これで勢いづいたが、この後に雷や雨が激しくなり試合が中断。一度、雨脚が弱くなり選手たちがグラウンドにアップに散ったが、その後また雨脚が激しくなり、そのまま試合は継続試合として、翌18日9時半(日本時間22時半)から再開されることになった。
最終日となるため、この継続試合の40分後には決勝戦を開始。その終了40分後には、侍ジャパンU-18代表が出場する3位決定戦が行われる予定となっている(天候不順による中断等が長引けば3位決定戦は行わない可能性もあり)。
監督・選手コメント
馬淵史郎監督
「押せ押せのムードだったので、そのまま行きたかったですが、この雨では仕方ありません。山田はよう抑えてくれました。主将の自覚で“やってやろう”という気持ちが見えましたね。明日の起用は本人とも話し合って決めます。明日は最終日なので全力で戦いたいです」
山田陽翔(近江)
「しっかりと準備はできていました。今まで貢献できていなかったので勝利に貢献したいと思って投げました。ボールへの指のかかりが甘くて制球に苦しんでいましたが、肩の開きを抑えるよう三塁側を向く時間をしっかり取るようにフォームを修正しました。残りの試合も応援してくれている方の期待に応える投球をしたいです」
内海優太(広陵)
「初回に先制点が欲しい場面だったので、絶対に返してやる、しぶとく食らいついて行こうという気持ちで打席に立ちました。気を緩めずに一戦必勝で戦い、勝ってメダルを持ち帰りたいです」
伊藤櫂人(大阪桐蔭)
「馬淵監督からは“バットを短く持て”と言われていたのですが、自分のスイングでないと絶対に打てないと思っていつも通りに持って打ちました。打ったのはツーシーム系の落ちる球でした。1打席目も凡退でしたが感触が良かったので自信を持って打席に立ちました」
第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2022年9月9日~9月19日
オープニングラウンド
2022年9月10日(土)4:00 イタリア 0 - 6 日本
2022年9月11日(日)8:00 メキシコ 1 - 4 日本
2022年9月12日(月)8:00 日本 5 - 4 パナマ
2022年9月13日(火)8:00 日本 10 - 0 オーストラリア
2022年9月14日(水)8:00 日本 2 - 9 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
スーパーラウンド
2022年9月16日(金)5:00 韓国 8 - 0 日本
2022年9月17日(土)5:00 日本 1 - 0 オランダ
2022年9月18日(日)22:30 アメリカ 4 - 3 日本
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
3位決定戦
2022年9月19日(月)4:00 韓国 2 - 6 日本
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
開催地
アメリカ(フロリダ)
出場する国と地域
グループA
アメリカ、韓国、オランダ、カナダ、ブラジル、南アフリカ
グループB
日本、チャイニーズ・タイペイ、メキシコ、オーストラリア、パナマ、イタリア