10月9日、「第4回 WBSC U-23 ワールドカップ」(10月13日から台湾で開催/以下、U-23W杯)に出場する侍ジャパンU-23代表の直前合宿2日目が行われ、代表結成後初となる実戦が行われた。
※泉口友汰(NTT西日本)はコンディション不良により出場を辞退。代表選手の追加招集は行わず、23選手でU-23W杯に臨む。
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練習試合の相手となったのは昨年の都市対抗王者の東京ガス。そんな強豪を相手に投手陣が躍動した。
先発のマウンドに上がったのは今秋のドラフト候補にも挙がる高卒3年目の左腕・富田蓮(三菱自動車岡崎)。先頭打者にこそ安打を許したが「初めての侍ジャパンで緊張した部分もあったのですが、後続を抑えられたことでホッとしました」と立ち直り、3回までを無失点で抑えた。かねてから大切にしてきたカーブや三塁側(左打者の外角、右打者の内角)へのストレートが冴え、しっかりと結果を残した。
4回からは7イニング制の本番も見据えての小刻みな継投に移る。谷優希(伯和ビクトリーズ)、澤柳亮太郎(ロキテクノ富山)、工藤稜太(信越硬式野球クラブ)、柳橋巧人(JR東海)が1イニングずつを無失点で繋ぐと、8・9回は権田琉成(TDK)が力強いストレートを軸にした投球で締めて完封リレーを完成させた。
打線は安打が出ながらも繋がらずにいたが、7回に満塁のチャンスを作ると代打・相羽寛太(ヤマハ)の犠牲フライと4番・藤井拓海(四国銀行)の走者一掃の二塁打、主将を務める5番・中村迅(NTT東日本)のタイムリーでこの回一挙5得点を挙げ、試合は5対0の快勝となった。
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石井章夫監督は完封リレーを果たした投手陣について「7イニング制なので1イニングずつをきっちり抑えてもらえれば」と話し、打線については「緊張もあったと思いますし、打順の組み合わせも考えていきますが、7回のようなイニングが1つでもあるとホッとするでしょう」と及第点をつけた。
練習試合前にはトップチームの栗山英樹監督が訪れ、現在NPBで活躍している上川畑大悟(日本ハム)らの例を挙げて激励。試合後の取材でも「今は社会人でいろんな経験をして地道に成長をし、人間的にも技術的にも成熟した選手が活躍してチームを変えてくれている」と、U-23代表選手のさらなる飛躍に期待をかけた。
また、自身が指揮を執る来年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)も控えるだけに「U-23W杯で良い流れを作ってもらって我々もそこに乗っかっていきたいです」と笑顔で語った。
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そして、練習終了後には出場記者会見が行われ、石井監督と中村主将が出席。石井監督は第1回大会以来の王座奪還に向けての鍵を「いかに点を獲るか。海外勢のパワーに日本も追いつかなくてはいけません」と長打力を挙げた。さらに7イニング制ということもあり「立ち上がりの活力がまだ弱い。そこをもっと意識していかなくてはいけません」と課題を語った。
中村主将は「目標は世界一。昨日集合したばかりなのでしっかりコミュニケーションを取っていきたいです」と力強く語り、石井監督に求められている長打力については「普段2ストライクからは当てに行く選手も、しっかり振って外野に飛ばすように意識することが大切だと思います」と意識を変えて臨むようだ。
国内合宿最終日となる10日はNTT東日本と対戦(新型コロナウイルス感染拡大予防のため見学は不可)。11日に決戦の地である台湾に入国し、14日の初戦ドイツ戦(日本時間18時開始予定)から王座奪還に向けた戦いが始まる。
選手コメント
富田蓮(三菱自動車岡崎)
「持ち味はストレートでファウルや空振りを奪えること。回転数が多いのでキレに自信があります。(大会期間中の20日にドラフト会議)意識はしますが、まずは自分のピッチングスタイルであるストレートとカーブのコンビネーションで抑えられるよう、大会に集中したいです」
藤井拓海(四国銀行)
「(7回のタイムリーは)前の打席で1本ヒットが出て気が楽になりましたし、布施努さん(スポーツサイコロジストとして帯同)から“思いきっていけ”と言われたので前向きな気持ちで打席に立ちました。“4番でいいのかな?”と思ったのですが結果を出せて良かったです。(所属先の)支店の方にも応援してもらっているので頑張りたいです」
第4回 WBSC U-23ワールドカップ
大会期間
2022年10月13日~10月23日
オープニングラウンド
10月14日(金)18:00 ドイツ 0 - 6 日本
10月15日(土)15:30 ベネズエラ 2 - 5 日本
10月16日(日)20:00 日本 1 - 3 チャイニーズ・タイペイ
10月17日(月)15:30 日本 4 - 1 コロンビア
10月18日(火)15:30 南アフリカ 0 - 9 日本
スーパーラウンド
10月20日(木)15:30 日本 2 - 1 オーストラリア
10月21日(金)15:30 韓国 1 - 2 日本
10月22日(土)14:00 日本 4 - 2 メキシコ
決勝
10月23日(日)20:00 日本 3 - 0 韓国
※開始時刻は日本時間(台北:時差-1時間)
開催地
台湾(台北)
出場する国と地域
グループA
日本、チャイニーズ・タイペイ、コロンビア、ドイツ、南アフリカ、ベネズエラ
グループB
オーストラリア、キューバ、メキシコ、オランダ、プエルトリコ、韓国