11月3日、神奈川県のENEOSとどろきグラウンドで「第11回 BFA U12アジア野球選手権」(11月23日から愛媛県松山市・今治市)に出場する侍ジャパンU-12代表の強化合宿2日目が行われた。
この日はチーム結成後初の練習試合が行われるということで、仁志敏久監督は練習前に「勝ち負けよりも自分のいいところを出せるように」と選手たちに話した。江尻慎太郎投手コーチも「コンディションをしっかり整えるために、キャッチボールから1球ずつ丁寧に取り組もう」と準備の大切さを強調した。
内外野に分かれてノックを行った後には打撃練習を開始。仁志監督は2日連続で打撃投手を務め、「こんなに飛ぶんだな」と選手たちの力強いスイングに驚く様子も見られた。
今回の練習試合は通常ルールでの6イニングに加え、無死一、二塁から開始するタイブレークも1イニング実施。実際の大会を想定した形式で合計7イニングを戦った。
対戦相手は荒波翔監督率いる横浜DeNAベイスターズジュニア。約930名の小学生によるセレクションを勝ち抜いた16名で構成されており、今回のU-12代表メンバーである一寸木健翔(西湘シーホース)も所属しているチームだ。
そんな一寸木はこの試合の先発を託された。ランナーを2人背負いながらも落ち着いた投球を見せ、初回を無失点で切り抜ける。
2回には江尻投手コーチから「投球練習の1球目にベストボールを投げられるように」とアドバイスを受けた立岩駿(古高松ブルースターズ)がマウンドへ。助言を意識して準備を行った結果、初球に外角のストレートをしっかりと投げこむことができ、カウントを有利に進めて打者3人を無失点に抑えた。さらに牽制のクイックモーションも高評価だった。
U-12代表打線が芽を出したのは2回の攻撃。主将の惣宇利銀河(神明サンダーズ)がレフト方向に特大の本塁打を放って先制に成功。同点に追いつかれた3回には西谷内駿希(松任若体スーパースターズ)からも豪快な本塁打が生まれて2点目を追加。スコアを2対1とした。
逆転されて迎えた5回。この試合初の打席に立った石﨑悠士郎(本郷北学童野球クラブ)が冷静に四球を選び、ノーサインの中でも盗塁を決めて存在感を発揮する。その後、2者連続の四球でチャンスを満塁に広げて、迎えるバッターは強肩を生かした守備が光る杉浦颯真(保々ジュニヤーズ)。ライト前に弾き返す鋭い適時打を放ち、またもや3対3の同点に追いついた。
7回のタイブレークでは守備から途中出場した池田夏唯(下馬ジュニアクラブ)の適時打や立岩の四球などで一挙4点を獲得。最終的に7対9(タイブレークを除くと5対7)で惜敗したものの、収穫の多い試合となった。
仁志監督は「技術的な部分よりも、自分の実力を発揮しようとする気持ちがまずは大切です。その上で仲間にどのように声かけをするかというチームづくりの面にも期待したいと思います」と1日を振り返った。また、試合後のミーティングでは「生活面からもっと気持ちを引き締めないといけない。アジアチャンピオンにふさわしいのはどんな人か考えて行動する必要がある」と選手たちに注意する場面も見受けられた。
強化合宿最終日となる4日は横浜市西区中学生選抜チームとの練習試合を行う。野下卓泰コーチが「みんな日本代表に選ばれているのだから堂々とプレーしよう」と選手を鼓舞したように、格上の相手にも強気で向き合う姿勢を見せてくれることに期待だ。
選手コメント
西谷内駿希(松任若体スーパースターズ)
「同点だったので、逆転するために絶対に塁に出ようと打席に入りました。ホームランを打てて嬉しかったです。練習からみんな明るく取り組んでいるのがチームの良いところだと思います。次は中学生相手でレベルが高いですが、諦めずに真剣にプレーしたいです」
杉浦颯真(保々ジュニヤーズ)
「みんな上手い選手ばかりなので、声を出して盛り上げることが自分の役割だと思っています。同点のタイムリーは仲間が回してくれたので、なんとしてもという気持ちで打ちました。次は中学生相手ですが、大勝します」