11月4日、神奈川県のENEOSとどろきグラウンドで「第11回 BFA U12アジア野球選手権」(11月23日から愛媛県松山市・今治市)に出場する侍ジャパンU-12代表の強化合宿3日目が行われた。
合宿最終日も引き続き8イニング制の練習試合が行われた。対戦相手は横浜市西区中学生選抜チーム。体格やパワーの差がある格上選手たちを相手にU-12代表が立ち向かった。
仁志敏久監督は試合前に「今日も特に指示は出しません。相手は体が大きくて力も強いけど、しっかり自分のいいところを出しましょう」と話した。江尻慎太郎投手コーチは「大会に向けてピッチャーの緊張感を高めてもらわないと困る。周りの選手も配慮するように」と個々の意識やチームの結束力の向上を促す助言をした。
試合は1回表から動いた。先頭の古畑太誠(深川ジャイアンツ)がサード強襲の安打で早速出塁すると、3番の漆崎一輝(ドラゴン中藤スポーツ少年団)から二遊間を抜けるタイムリーが飛び出し1点を先制。さらに、立岩駿(古高松ブルースターズ)からはライトへ叩き込む特大の2ランが生まれ、3点目を追加した。
続いて打線が火を噴いたのは3回表。峰岸走太朗(菱・境野フューチャーズ)が低めの球を二遊間に弾き返すと、漆崎の四球で2死一、二塁にチャンスを拡大。続く立岩も勢いを落とさず、センター前へタイムリーを放って4点目。リードを2点に広げた。
3回と4回に計3点を失い、1点ビハインドで迎えた6回表の攻撃。今試合初打席の石﨑悠士郎(本郷北学童野球クラブ)の内野安打、西谷内駿希(松任若体スーパースターズ)の四球で1死一、二塁とする。そして、続く中村豪志(枝吉パワーズ)がこの日2本目の安打を放ってスコアを5対5の同点に戻した。
8回は無死一、二塁から開始するタイブレーク方式で実施。先頭の池田夏唯(下馬ジュニアクラブ)がすぐさまタイムリー二塁打を放つと、続く西谷内は四球を選んで無死満塁に。そして漆崎と藤原虎之助(深川一已バトルス)から2者連続のタイムリーが飛び出して4点目。さらに古畑のゴロの間にもダメ押しの1点を追加した。大量11安打10得点でU-12代表はチーム結成後初の勝利を収めた。
好調の打撃に応えるように投手陣も奮闘した。2番手に登板した主将の惣宇利銀河(神明サンダーズ)はボールを低めに集め、わずか6球で1イニングを三者凡退に抑えた。
5番手の池田は2死満塁のピンチでリリーフ登板。スライダーを織り交ぜながらの落ち着いた投球でショートフライに打ち取りピンチを切り抜ける。次の回も引き続きマウンドに上がり、2つの三振を奪う活躍でチームの勝利に大きく貢献した。
池田の後を受けた藤原・立岩もそれぞれ1イニングを無失点でまとめる。タイブレーク方式の最終回には前日の試合で先発した一寸木健翔(西湘シーホース)が8番手として登板。打たせて取る投球でリードを守り抜いた。
仁志監督は「いい内容の試合でした。打者は変化球への対応について学べたと思います。チームメイトに対して試合の状況に応じた声かけができる選手も出てきました」と振り返った。その上で本大会では日本という国を背負って戦う覚悟がより一層必要になることや、チームに貢献するために自発的に考えて動く姿勢が試合の結果以上に大切であることも改めて強調した。
最後には選手たちが「並んで挨拶をしよう」と自発的に声をかけ合ってグラウンドへ整列。「ありがとうございました」とたくましい声を響かせて強化合宿は終了した。この3日間で得た収穫と課題を各自持ち帰り、さらにパワーアップした姿で21日からの直前合宿に挑む。
選手コメント
惣宇利銀河(神明サンダーズ)※主将
「みんなで協力して試合に勝てたのでチームの雰囲気はすごくいいです。今日のピッチングは最高でした。変化球が得意で、カーブとスライダーを織り交ぜて抑えることができました。歴代最高のキャプテンとしてチームを引っ張っていけるよう、全員で一致団結して優勝します」
池田夏唯(下馬ジュニアクラブ)
「満塁の場面でも落ち着いて投げることができました。スライダーが特に良かったです。バッターとしても一球に集中してプレーできたと思います。チーム全員でアジアチャンピオンを目指します」
立岩駿(古高松ブルースターズ)
「(本塁打について)ちょっとタイミングは遅れたけど、しっかり振り切れたので良かったです。ピッチャーとしては江尻投手コーチの『投球練習の1球目にベストボールを』という言葉を意識して準備できました。アジア選手権ではピッチングでもチームを引っ張れるように頑張ります」