11月22日、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで「第11回 BFA U12アジア野球選手権」(11月23日から愛媛県松山市・今治市)に出場する侍ジャパンU-12代表の公式練習が行われた。
ついに大会前最後の練習日となり、選手たちは自由時間に自ら素振りをするなど、試合に臨む準備を着々と進めた。
1時間30分の公式練習では仁志敏久監督の「テキパキと行動しよう」という言葉のもと、選手たちは限られた時間の中で最終調整に励んだ。
前日のミーティングで江尻慎太郎投手コーチが言及した「相手の構えよりも低めを狙って投げること」を意識しながら、まずはキャッチボールに取り組む。
その後は内外野に分かれての守備練習。杉浦颯真(保々ジュニヤーズ)をはじめ、軽快な守備を披露する選手が多く「いいね!」「うまい!」といった明るい声かけがグラウンドに響いた。
続いて杉浦、藤原虎之助(深川一已バトルス)、西谷内駿希(松任若体スーパースターズ)が捕手のポジションに入り、盗塁阻止や投内連係にも取り組んだ。ボールが選手の間に転がって譲り合っていた際、野下卓泰コーチは「コミュニケーションを大切にしてね」とアドバイス。捕球する選手が「オーライ」としっかり声を出すことでチームの連係と守備力に磨きをかけた。江尻投手コーチは「暴投は失点につながりやすいよ。一球ずつ丁寧にね」と声をかけて選手を奮い立たせる。漆崎一輝(ドラゴン中藤スポーツ少年団)は守備練習全体を振り返り、「みんなよく声が出ていたし、自分も足を良く動かせたと思います」と述べた。
守備練習を終えた選手たちはティー打撃とフリー打撃へ。仁志監督と野下コーチが打撃投手を務め、ストレートとカーブを中心に投げ込む。一寸木健翔(西湘シーホース)は高いミート力を発揮し、ヒット性の打球を複数本放つ。池田夏唯(下馬ジュニアクラブ)や惣宇利銀河(神明サンダーズ)のバットからも鋭い当たりが生まれた。翌日からの大会でも積極的な攻撃に期待がかかる。
練習の最後には藤原がマウンドへ上がり、1イニングを想定した実戦形式の練習を行った。投球練習の段階から盗塁を防ぐためのクイックモーションを試したり、フルカウントの状況を想定したりするなど、より実戦を意識した登板となった。時間の関係でマウンドに立つことはできなかったものの、中村豪志(枝吉パワーズ)と一寸木もキャッチボールをして最終調整を行った。
1時間30分の公式練習はあっという間に終わり、選手たちは「ありがとうございました!」と元気な挨拶を残して球場を去った。
15時30分からは仁志監督が記者会見へ出席。意気込みを問われると「チームとしては必ず優勝したいと思っています」と述べ、「他の国・地域から来られた皆さんにも日本のいいところをぜひ堪能していただいて、子どもたちの親交も深めることで大会を成功させたいと思っています」と歓迎の意を表した。また、初戦の相手となる中国の闫占河監督は「すべての選手が努力を重ねてこの場に来ることができました。ベストを尽くすとともに、試合を楽しみたいと思います」とコメントした。
18時からはオープニングセレモニーとウェルカムパーティーに参加。総勢100名以上の選手が一堂に会した。参加チームを代表し、主将の惣宇利が英語を使って堂々と選手宣誓。その後は食事と歓談を楽しみ、他チームの選手と会話したり写真を撮ったりする場面も見られた。
パーティーの最後には各チームのPRタイムが設けられ、日本代表は「ソーラン節」を披露。前日夜からミーティングと練習を重ねた選手たち。笑顔で踊りきり、参加者から盛大な拍手を受けた。
U12アジア選手権は11月23日に開幕。侍ジャパンU-12代表は10時30分から坊っちゃんスタジアムで中国との初戦に挑む。チームワークと相手へのリスペクトを大切に、2016年の第9回大会以来となる2回目のアジア王者の座を掴み取れるか注目だ。
選手コメント
漆崎一輝(ドラゴン中藤スポーツ少年団)
「バッティングの調子は最高です。実戦形式で(藤原)虎之助からヒットを打てたのもめっちゃ嬉しかったです。練習全体を通じて課題だった切り替えを意識できて、しっかり声もかけあえたと思います。みんなすごく仲がいいので、チーム一丸となってアジア1位を目指します」
藤原虎之助(深川一已バトルス)
「(投球について)ストレートの調子は悪かったけど、変化球が良かったです。でも(漆崎)一輝を抑えられなかったのは悔しいから、次までにストレートを調整したいです。(大会の目標)打撃では持ち味の長打力を生かしてホームランを打って、投手としてはテンポ良くピッチングして野手陣に繋げていきたいです」