メキシコのプロ野球の現場に行くと、選手にしては少々幼い少年が選手に混じって練習しているのをよく見かける。このシーンは、メキシコの育成システムを象徴している。
サッカーのイメージが強いが、野球の母国・アメリカでこのスポーツが生まれて間もなく伝来したとあって、メキシコには長い野球の伝統がある。1925年には早くもプロリーグ、メキシカン・リーグが発足している。現在はこのリーグを頂点に、地方で展開されるマイナーリーグに加え、メキシカン・リーグが運営するアカデミー・リーグが連なる階層化されたシステムが構築されている。さらに、メジャーリーガーも参加するメキシカン・パシフィック・リーグの他、いくつかのウィンターリーグが各地に展開されている。
この国にもやはり、いわゆる「高校野球」はない。この世代の選手育成は、基本的にメキシカン・リーグが主導していると言っていいだろう。
各地にある少年野球のトップ選手は、州選抜チーム入りし、全国大会に進む。そこで、腕を見込まれた選手は、プロチームにスカウトされ、メキシカン・リーグ各球団が保有するアカデミーでプレーすることになる。サッカーのユースチームを思い浮かべればわかりやすいだろう。ここでさらに目に留まればプロ契約を結ぶことになる。月500ドルほどの薄給からのスタートではあるが、メキシコでは16歳になればプロ契約を結ぶことができ、契約を結んだ選手はプロ選手として、北部・ヌエボレオン州エル・カルメンにあるメキシカン・リーグのアカデミーに送り込まれる。
メキシコの学校はアメリカと同じく9月に新学年がスタートするので、中学卒業後にプロ契約を結んだ選手は、アカデミーでトレーニングを重ね、秋から冬にかけて行われるルーキーリーグでプロデビューを飾る。年齢や技能の点から、まだプロ契約を結んでいない選手が、冒頭にふれたようにトップチームに帯同することもある。また、有望な選手の中には、メジャーでのプレーを見据えて、アメリカの高校に進学する者もいる。
晩秋のルーキーリーグで生き残った選手は、翌春からはA級リーグに昇格、同じくリーグのアカデミーで公式戦をこなして、経験を積んでゆく。
このような野球事情から、今大会では相当数のプロ選手が参加するものと思われる。技能的には侍ジャパンの方が一枚も二枚も上だろうが、陽気なラテン体質で、のせると足元すくわれることになりかねないので、慎重にゲームを進めていきたい。また、この国の野球は伝統的に投手力が弱く、打高投低だが、日本の投手陣を打ち崩すのは難しいだろう。
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ