「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 」(以下、WBC)で大会連覇を狙う1次ラウンド プールCのドミニカ共和国。幼少期から野球に励む環境が整っているドミニカ共和国に迫ります。
WBC前回大会を全勝優勝で飾った西インド諸島・イスパニョーラ島東部にあるドミニカ共和国。4年前の凱旋帰国時は首都サンドミンゴ空港から都市中心部までの沿道が人で埋まるなど、代表の動向は常に1000万人国民の大きな関心事である。
その理由はドミニカ共和国の国情と選手育成システムが起因している。最初の赤ん坊が生まれると野球のバットとグラブをプレゼントする伝統があるドミニカ共和国の子どもたちは3~4歳になると野球を始める。そして5歳になると「アカデミー」で野球を学ぶ。ここから7年間で趣味や遊びとして野球を楽しんでいく中、自らの野球適正を探る子どもたちは、12~18歳のカテゴリーでは「プロになるための」本格的なトレーニングへ移行する。すわわち彼らは12歳で人生の大きな分岐点を迎えることになる。
だからこそMLBを夢見て日々野球に励む子供たちの目標は明確である。「たくさんのお金を稼ぎ、家族や友達を助ける」。
すなわちMLBで活躍する選手たちは国民にとって大きな希望。その期待を十二分に理解している選手たちは、「母国に夢を運ぶ」貴重な機会であるWBCで全力プレーを貫く。このサイクルが2006年ベスト4から一転、オランダに連敗し1次ラウンド敗退に終わった2009年をバネにした前回大会での栄冠を呼んだといっても過言ではない。
そんなドミニカ共和国は、今回も豪華メジャーリーガーが大半を占める28名でWBC連覇に挑む。注目NO.1野手はなんといっても、WBC3大会連続出場で前回大会ではMVPも獲得したMLBを代表する二塁手であるロビンソン・カノ(マリナーズ)だろう。
34歳のカノだが、昨季も打率.298・39本塁打・打点103をマーク、2013年WBCでMVPを獲得したその力は健在。2210安打・278本塁打・1086打点のMLB実績をWBCでいかに後輩たちに伝えていくかにも着目したい。
また、カノとマリナーズのチームメイト、昨シーズンはMLB43本塁打、105打点を記録した右の強打者・ネルソン・クルーズ外野手や、4大会連続WBC出場の遊撃手ホセ・レイエスといった、2013年のベストナインに名を連ねた選手たちが多数参加しているのも心強い。
一方、投手の柱は昨季はMLBで防御率2.79・18勝・奪三振198をマークしたジャイアンツのジョニー・クエト。リリーフ陣の中心は、3年連続MLB70試合以上登板のヤンキースのタフネス守護神であるデリン・ベタンセスになるだろう。前大会でクローザーとしてフル回転し、ベストナインに選出されたフェルナンド・ロドニー(ダイヤモンドバックス)や、150キロ前後のスプリットを投げ、昨年MLB51セーブをマークした最多セーブタイトルを獲得したジューリス・ファミリア(メッツ)らと共に、今大会でも盤石なリリーフ陣を形成できるか注目だ。
指揮を執るのは前回大会に引き続き指揮を執るのはヤンキースでもコーチを務めるトニー・ペーニャ。まずはアメリカと同居することになった1次リーグプールCでどのような戦い方を進めるかを見守ろう。