文=駒田英
「名将」洪一中監督は、陽岱鋼の経験に期待
指揮を執るのは洪一中監督(中)、黒と白が基調の新ユニフォームで参戦する
CPBL(中華職業棒球大連盟)は8月7日、「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」 チャイニーズ・タイペイ代表の監督に、Lamigoモンキーズの洪一中監督が就任することを発表した。現役時代、名捕手として知られた洪監督は、台湾プロ野球歴代1位となる監督通算勝利750勝を挙げている「名将」で、今シーズンは前・後期シーズン、台湾シリーズも制す「完全優勝」を果たした。
ちなみに、洪監督は、アジアシリーズではlanewベアーズ、北京オリンピックではチャイニーズ・タイペイ代表の監督として、現役時代の侍ジャパン・稲葉篤紀監督と「対戦」している。
10月11日発表された代表メンバーは、大方予想通りであったものの、驚きをもって受け止められたのは、オーバーエイジ枠で、30歳の陽岱鋼(読売ジャイアンツ)が選出されたことだった。洪監督は「彼には日本プロ野球での豊富な経験がある。若い選手たちが中心となる今大会において、彼の技術や経験はチームにとってプラスになる」と期待を示した。
リーグを牽引する強打者が、投手陣を援護できるか
代表25人は、CPBLからオーバーエイジ枠の陳禹勲(Lamigoモンキーズ)を含む22人、NPBからは呉念庭(埼玉西武ライオンズ)のほか、オーバーエイジ枠で前述の陽岱鋼と、陳冠宇(千葉ロッテマリーンズ)の3人が選出された。
野手陣は、CPBLを代表する選手が数多く含まれている。王柏融(Lamigoモンキーズ)は今シーズン、打率.407、本塁打31本、101打点をマーク、台湾プロ野球史上2人目の三冠王に輝き、最多安打、ベストナイン、ゴールデングラブ賞に加え、7日に行われた年間表彰式では、2年連続となる年間MVPを獲得した。さらに、陳傑憲(統一ライオンズ)は、シーズン終盤まで王柏融と首位打者、最多安打を争い、遊撃手でベストナインを獲得した。また、本塁打、打点2位の朱育賢(Lamigoモンキーズ)、シーズン後半、4番を打った蘇智傑(統一ライオンズ)、今年の新人王、詹子賢(中信兄弟)、年々長打力を伸ばしている高卒5年目の陳子豪(中信兄弟)、米マイナーの他、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでもプレーした陳品捷(富邦ガーディアンズ)らは、いずれもチームの中心選手だ。
一方、世代を代表する好投手が早い段階で海外に流出してしまう台湾では、CPBLで軸となる投手、特に先発投手の育成が課題となっており、洪監督も頭を悩ませている。こうした中、所属の千葉ロッテマリーンズでは今シーズン、主に中継ぎを務めた陳冠宇をオーバーエイジ枠で招集、先発で起用する。また、今年ローテーション入りし、プロ初勝利を含む6勝をあげた右腕、林樺慶(Lamigoモンキーズ)と、3勝をあげ新人王の候補となった左腕の林政賢(富邦ガーディアンズ)が先発候補として選出された。千葉ロッテマリーンズを北部・桃園市に迎え、10日から3試合行われる強化試合では、陳冠宇、林樺慶、林政賢の順で先発する。
日本戦先発が濃厚な林樺慶は、直球のほか、ナックルカーブ、チェンジアップ、フォークなど数種類の変化球を操る。2015年のオフには、交流のある千葉ロッテマリーンズの鴨川キャンプに参加し、石川学からシンカーなどの変化球を学んだという。日頃からNPBをチェックしているという林樺慶は意気込み十分、対戦を期待する打者として、山川穂高(埼玉西武ライオンズ)、2015年のアジアウインターリーグで対戦した上林誠知(福岡ソフトバンクホークス)の名を挙げた。
その他、中継ぎには、日本の高校、大学を経て、BCリーグ・石川ミリオンスターズでプレーした王鴻程(中信兄弟)、杉山賢人2軍投手コーチ(現・埼玉西武ライオンズ)から指導を受け、成長の手応えをつかんだ朱俊祥(Lamigoモンキーズ)、今シーズン復調し、ホールド王を獲得した王躍霖(Lamigoモンキーズ)らMAX150キロを越える投手が、そして抑え投手は、今シーズン、リーグ新記録の37セーブをマークした、絶対的なクローザー、陳禹勲(Lamigoモンキーズ)が控えている。
洪監督は「打撃陣についてはあまり心配していない。投手陣がどこまで通用するかどうかだ」と評しており、チャイニーズ・タイペイ代表が優位に試合を進めるには、早い段階で打線が援護し、できるだけ投手陣を楽な状況で投げさせることができるか否かが決め手になってくるだろう。
(情報は11月7日時点のもの)
ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017
大会期間
2017年11月16日~11月19日
予選
11月16日(木)19:00 日本 8 - 7 韓国
11月17日(金)19:00 韓国 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
11月18日(土)18:30 チャイニーズ・タイペイ 2 - 8 日本
決勝
11月19日(日)18:00 日本 7 - 0 韓国
開催球場
東京ドーム
出場チーム
チャイニーズ・タイペイ代表、韓国代表、日本代表
侍ジャパン選手紹介
2017年11月6日 先発投手編
2017年11月7日 中継ぎ・抑え投手編
2017年11月8日 捕手編
2017年11月9日 内野手編
2017年11月10日 外野手編