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世界野球WBSCプレミア12特集 「侍ジャパンを迎え撃つ強者たち~キューバ」

2015年10月23日

 二次リーグで敗退した2013年のワールド・ベースボール・クラシックのメンバーから、先発として期待されていた右腕オドリサメル・デスパイネ(現サンディエゴ・パドレス)、大型遊撃手のエリスベル・アルエバルエナ(現ロサンゼルス・ドジャース傘下)、安打製造機と呼ばれたホセ・アブレイユ(現シカゴ・ホワイトソックス)、日本のプロ球団も狙っていたヤズマニー・トマス(現アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が亡命してメジャー・リーグ入り。強気の投球で活躍していた26歳のヤディエル・ペドロソは、帰国直後に自動車事故でこの世を去り、「赤い稲妻」と恐れられたキューバ代表は、暗く厚い雲に包まれてしまう。
 さらに、今年2月には24歳になったばかりの外野手ギジェルモ・エレディアまで亡命。そうした流れを変えるため、何としても金メダルを手にしようと7月のパン・アメリカン競技大会(パンナム)に臨もうとアメリカで直前合宿を行なうと、またも2名が自由を求めてチームを去る。

 ここ数年の主力選手の相次ぐ亡命は、世界トップクラスの戦力を大幅にダウンさせた。パンナムでは準決勝でアメリカに敗れ、プエルトリコとの3位決定戦も9回まで3点のリードを許す展開。しかし、今大会でも代表入りしたヨルビス・ボロト(シエゴ・デ・アビラ)が起死回生の同点3ラン本塁打を放つと、ホゼ・ガルシアのサヨナラ弾で銅メダルは死守した。ここ一番で発揮される勝負強さは生きていたとも言えるが、大会を通じた戦いぶりは苦しそうに見えた。では、今大会のメンバーがパンナムからグレードアップしたかと問われれば、ダウンしたというのが正直な印象だ。
 そのパンナムからは13名が引き続き選出されたが、巨人でプレーするフレデリク・セペダや投手陣の柱を担っていたイシュメール・ヒメネスらの名前はない。代わりに、巨人で成長著しいエクトル・メンドーサ、21歳の左腕リバン・モイネロ(ピナール・デル・リオ)、同じく21歳の右腕ユニエル・カノ(シエゴ・デ・アビラ)、19歳で左打ちの外野手ホアン・パブロ・マルティネス(グアンタナモ)と次代を担ってほしい若手を抜擢しているが、2007年に鮮烈デビューを果たしたアロルディス・チャップマン(現シンシナティ・レッズ)のようなインパクトはなく、どこまで活躍できるかは未知数だろう。

 打線の軸は、アルフレド・デスパイネ(千葉ロッテ)。ムードメーカーであり、人間性の面でも尊敬を集めるスラッガーは、パンナムでも打率.176ながら、8試合で3本塁打6打点とパンチ力は示した。その前後は、昨シーズン横浜DeNAでプレーしたユリエスキ・グリエルと38歳の左打ちアレクサンデル・マジェタで固めるか。ともに8月から新シーズンが開幕したキューバ国内リーグ(セリオ・ナシオナル・デ・ベイスボル)の強豪インダストリアレスで好成績を収めており、やはり国内リーグで目立つ打撃を見せているヨスバニ・アラコン(ラス・トゥナス)、スタイラー・エルナンデス(インダストリアレス)、ボロトらが上手く絡めば、パンナム以上の得点力を挙げられそうだ。
 キーマンになるのは、長男ユニエスキ、次男ユリエスキとともに代表で3兄弟が揃ったグリエル一家の三男ルールデス・グリエル・ジュニア(インダストリアレス)だ。7月に開催されたオランダの国際大会ワールドポート・トーナメントでMVPに輝いた22歳は、柔軟な打撃や内外野をこなせる守備で魅せてくれるだろう。

 こうした攻撃力で勝利をつかむためにも、投手陣の奮闘に期待がかかる。国際大会の経験が豊富な37歳の左腕ノルベルト・ゴンザレス(シエンフエゴス)を筆頭に、36歳のヨアルキス・クルーズ(ラス・トゥナス)、35歳のヨスバニ・トーレス(ピナール・デル・リオ)とダニー・ベタンコート(サンティアゴ・デ・クーバ)ら、どんな場面でも安定した投球のできる右腕を招集したのは、ビクトル・メサ監督が継投に勝機を見出そうとしているからだろう。ビジャクララのエース右腕フレディ・アルバレス、パンナムで好投した左腕ヨアンニ・イエラ(マタンサス)の26歳コンビが先発の軸になれるか注目したい。
 世界の舞台で日本が追いつき、追い越そうとしてきたキューバとの通算対戦成績は20勝55敗4引き分け。日本にプロ選手も加わると7勝11敗になり、近年は互角以上の勝負を演じている。ただ、試合を重ねるごとに強く、しつこくなってくるだけに、準々決勝で最も当たりたくないチームであることに変わりはない。

世界野球WBSCプレミア12特集 侍ジャパンを迎え撃つ強者たち

※カッコ内の順位はWBSC世界野球ランキング

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世界野球WBSCプレミア12

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11/16(月)19:00未定(台湾)準々決勝TBS系列
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