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"世界の野球"【第13回】清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記「挑戦」

2015年8月24日

文・写真=元 野球日本代表 清水直行

 日本野球はもっと世界で必要とされてもいいのではないか。
 野球後進国(現在はニュージーランド)と野球先進国(日本)が、どうすれば双方にメリットがあり有益な交流を作れるのか。そんな課題に試行錯誤を繰り返しつつ、私は、野球後進国で日本野球と連携しながら活動をしている。

「ニュージーランドで野球を普及する」「ニュージーランド代表統括コーチ」このような活字が私の紹介記事では先行している。間違ってはいないがやはりうまく伝わっていなことが少し残念でもある。それは私のコトバが足りていないことでもあり、一言では伝えられない活動だからだろう。
 会見でも言わせていただいたが、私は、ニュージーランド野球連盟の代表統括コーチとGM補佐という肩書きはあるが、あくまでも日本野球OBの一人として、日本野球と野球後進国の野球交流を作り出し、その中で日本野球を伝え広めることができればと思い行動している。方法は様々あると思うが、私なりに、日本野球を後進国の現地でより身近にアウトプットさせられる仕組みであり、どのように日本野球を知ってもらい価値を広めていくことができるかを考えている。これはニュージーランドに限らず、その他の地域や国でも同様に、誰かでありどこかの団体が現地で活動をしてほしいところだ。

 ニュージーランドの野球との関わりは1年半が経過している。しかし、まだ、野球を通じた交流を作ることができていない。本当は9月に「第1弾」として日本への野球交流ツアーを計画していた。実現していれば、インパクトは大きかったはずだ。そのために、古巣の千葉ロッテマリーンズや日本野球関係者、旅行代理店なども動いてくれた。残念ながら、企画は実現しなかった。全体の「調整役」としての私の力不足が原因だった。関係者の皆様には、この場を借りて改めて謝罪したい。それでも、いつの日か、こうした活動を実現すべく、協力してくれる企業や関係者とのパイプ作りも地道にしていきたい。
 「野球の架け橋」。言葉で言えば、簡単だが、実際にかける橋を少しずつ築いていく作業は並大抵ではない。これも試練。これも挑戦。だからこそ今も前を向いている。

 こちらのニュージーランドでは、日本の野球文化はもちろん、子供や学生の野球競技者数や日本における野球人気を伝えてきた。子供たちのスポーツと教育を通じて、両国内で野球交流ができればと考えてきた。そんな中、教育分野でも交流ができるようにニュージーランド政府公認機関で検討してもらえるまでになっている。
 世界で野球を普及する!そんな大それたことはできないが、この活動によってできた新しい種を植え、子供たちの交流によって育つ小さな芽を見守っていきたい。未知数な中、私も挑戦をしている。近い将来、このような交流の中からもニュージーランド選手が海を渡り、日本野球へ挑戦してもらいたいと願っている。

清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記
著者プロフィール
清水直行(しみず なおゆき)
1975年11月24日生まれ 京都府出身。日大、東芝府中を経て、99年にドラフト2位でロッテに入団。2002年から5年連続で規定投球回、2桁勝利を継続し、エースとして活躍。05年は31年ぶりの日本一にも貢献した。04年のアテネ五輪、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表として出場。10年から横浜(現:横浜DeNA)。プロ12年間で通算105勝、防御率4.16。現役引退後は、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐、同国の代表統括コーチを務める。

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