文・写真=野中寿人
では、2018年のインドネシア、ジャカルタ開催のアジア競技大会に向けて、インドネシア野球をどのようにして向上させて行くか?この部分に迫ってみたいと思います。まず、「国を代表するナショナルチームの強化」そして「国内の野球の活性化」といった、2つのプロジェクトを遂行し、一気にインドネシア野球の向上と発展を計ります。また2018年のアジア競技大会での目標は「中国代表打破」です。アジア4強の1角を崩すべく、下記に挙げるプログラムを施し、ナショナルチームの強化をして行き、2019年以降に繋げて行く基盤とします。
通常、国際大会へ参戦する場合の強化練習は約30人の選手にて進めて行きますが、2018年のアジア競技大会に向けての強化練習は、レギュラーチームのAチーム、準レギュラーチームのBチームの2つのチームを、同時に編成して進めて行きます。当然のこととして選手達へ支払う給与にしてもAチームとBチームとでの格差をつけて、国内で競争心を仰ぐシステムを組み、練習時間も分けて行い、それぞれのチームにアシスタントコーチを配置させて対応をします。
強化プログラムとしては、日本国をメインとし、チームとしての日本遠征、バッテリーの日本での修行、また野手の日本での修行といった形で、トライアウトや武者修行を、ローテーションにて決行し、更には、アシスタントコーチも日本へ修行に出して総体的な強化を目指します。
加えて、日本から専門分担ごとに、名前と実績のある指導者をインドネシアに招聘をし、選手たちやアシスタントコーチ共々に指導を受けさせ、日本とインドネシアの両国にて密な強化練習のプログラムを行います。そして、今年の3月に行った様に、日本の独立リーグへの挑戦と輩出をも併用してまいります。
全体的な青写真としては、野球の質と環境が高い日本に出来るだけ多くの期間、チーム、そして、選手やアシスタントコーチを滞在させて、ナショナルチームの強化を図るということです。
次に「国内の野球の活性化」についてですが、国内の野球事情を踏まえ、すなわち野球の盛んな地域だけではなく地方州や未開拓の地域に眼を向け、また、有能な身体能力を持つ選手の発掘をも兼ねて、地方州と未開拓の地域への野球の活性化を図ります。この方法についてはJICAからの野球隊員の派遣協力などによって、小学校、中学校、高校への、野球のクラブ活動を入れ込んで行く方法で対応をして行きます。更には、日本から招聘した指導者の方々にも巡回指導のご協力をお願いして行って行きます。現在のインドネシア国内の野球人口約12,000人を、2018年の3年後には、約3倍の30,000人に増加させる計画で進めます。
また、野球を国民の皆様方に多く知ってもらう為に、今までは、国内での野球放送といえば、衛星放送で放映されているMLBですが、これは有料の衛星放送を契約できる、裕福な家庭限定にて視聴が可能という問題点と、やはりインドネシア人の身体構造上の野球動作の誤解問題から、日本の野球放映が必要になってきます。それも衛生放送ではなく、一般の地上波でのテレビ局を使用して日本の野球を放映してより多くの国民に知ってもらい、野球に興味を持ってもらうことを企画、実行して行きます。
先の項でも記してきましたが、現状、インドネシア野球の向上と発展における問題点や改善点が明確になっている以上、思い切った改善と改革が必要です。この改善と改革を行うにあたっては、現地人社会の中では(現地人では)無理です。私の様な外国人、そして日本国などの外国からの動きを持って行わない限り出来ません。
ただ、その中においても現地内では、纏わる部分で数々の問題点が出てきます。その代表的な問題点は「現地人指導者の思考性」と「野球をどの様にして国内の学校に広めるか」などになり、この部分については、次の項にてご説明と打開策を述べさせて頂きたいと思います。
- インドネシア野球「アジア競技大会 大会に向けての準備状況」
- インドネシア野球「教育としての野球-インドネシア野球キャラバン」
- インドネシア野球「インドネシア代表チームの編成、及び、最新のグラウンド状況」
- インドネシア野球「アジア競技大会への準備」
- インドネシア野球「東京都高野連様との提携」
- インドネシア野球「第13回 BICレッドソックス深谷組カップ」
- インドネシア野球「野球キャラバン ジョグジャカルタ編」
- インドネシア野球「インドネシア女子硬式野球始動~オーストラリアへ!」
- インドネシア野球「日本の各野球組織、団体との提携へ」
- インドネシア野球「野球キャラバン スラウェシ島マカッサル編」
- インドネシア野球「インドネシア野球の方向性 野球動作の統一」
- インドネシア野球「子供たちに未来を!2017野球キャラバン」
- インドネシア野球「高度な野球環境との同化」」
- インドネシア野球「卒業旅行と野球 バリ島」
- インドネシア野球「インドネシア アマチュア野球連盟人事改正(リーダーと組織)」
- インドネシア野球「2017インドネシア代表チームの運営」
- インドネシア野球「2017年インドネシア野球向上各プログラム」
- インドネシア野球「2017年 インドネシア代表ナショナルチーム展望」
- インドネシア野球「“野球国力”ランキング査定システムがもたらす野球衰退」
- インドネシア野球「国際大会開催不能による野球衰退の実情」
- インドネシア野球「非行麻薬防止 突撃キャラバン」
- インドネシア野球「Fu×Bic 野球キャラバン ジャカルタ編」
- インドネシア野球「野球教室とストレッチ講習」
- インドネシア野球「大会結果とセレクション結果」
- インドネシア野球「国内クラブチーム大会 Vol.4 (大会の主旨)」
- インドネシア野球「国内クラブチーム大会 Vol.3 (日イ友好 国際親善)」
- インドネシア野球「国内クラブチーム大会 Vol.2 (付加価値の提供)」
- インドネシア野球「国内クラブチーム大会開催 (インドネシア代表チーム選手セレクション)」
- インドネシア野球「ワールド・ベースボール・クラシック 予選について」
- インドネシア野球「第19回 インドネシア国民体育大会 総評」
- インドネシア野球「第19回 インドネシア国民体育大会 開催」
- インドネシア野球「Fu×Bic 野球キャラバン スラバヤ編」
- インドネシア野球「第11回 BFA U-18 アジア選手権 Vol.5~ストレッチングトレーナの導入~」
- インドネシア野球「第11回 BFA U-18アジア選手権 Vol.4」
- インドネシア野球「第11回 BFA U-18アジア選手権 Vol.3」
- インドネシア野球「第11回 BFA U-18アジア選手権 Vol.2」
- インドネシア野球「第11回 BFA U-18アジア選手権 Vol.1」
- インドネシア野球「U18 インドネシア代表強化練習 ~台湾へ」
- インドネシア野球「第11回 BFA U-18 アジア選手権大会 参加」
- インドネシア野球「深谷組硬式野球部 野球研修を終えて」
- インドネシア野球「Fu×Bic 野球キャラバン バンドゥン~後編~」
- インドネシア野球「Fu×Bic 野球キャラバン バンドゥン~前編~」
- インドネシア野球「日本プロ野球名球会野球教室」
- インドネシア野球「野球キャラバン スタート」
- インドネシア代表「2016年 アジア競技大会強化プロジェクト開始」
- 「社会人野球への挑戦」
- 「ソフトボールとの関係」
- 「野球動作〜異国で日本人選手の育成はいらない」
- 「泥水を飲み続けて修正へ導く」
- 「ライセンス制度の導入」
- 「現地人指導者の権威と権力」
- 「野球をどの様にして国内の学校に広めるか」
- 「インドネシア野球向上と発展プロジェクト」
- 「外国人監督として注意しなければならないこと」
- 「インドネシア代表 外国人監督としての宿命と任務」
- アジア選手権「第27回 BFAアジア選手権 インドネシア代表 総評(後編)」
- アジア選手権「第27回 BFAアジア選手権 インドネシア代表 総評(前編)」
- アジア選手権「第27回BFAアジア選手権 中国代表戦」
- アジア選手権「第27回BFAアジア選手権 特別な2つの国歌」
- アジア選手権「第27回BFAアジア選手権 パキスタン代表への挑戦」
- アジア選手権「一難去らずにまた一難、第27回アジア選手権大会へ向けて」
- アジア選手権「インドネシア人の体について探求する」
- アジア選手権「インドネシア代表ナショナルチームの選手選考」
- アジア選手権「スポンサー獲得とインドネシアからの教示」
- アジア選手権「インドネシア、国際大会への参戦」
著者プロフィール
- 野中 寿人(のなか かずと)
- 1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。
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