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"世界の野球"インドネシア野球「アジア競技大会への準備」

2018年3月6日

文・写真=野中寿人

 8月18日からインドネシアのジャカルタにて開催される、第18回アジア競技大会。当初、この第18回アジア競技大会はベトナムのハノイにて開催が予定されていましたが、ベトナム政府の財政難により、開催国がインドネシアに変更をされた背景があります。現在、半世紀ぶりの開催ホスト国として、インドネシア国内では諸々の準備を行っております。

 野球日本代表「侍ジャパン」社会人代表をはじめ、韓国代表チーム、チャイニーズ・タイペイ代表チームといったアジア3強が参戦するアジア競技大会。本コラムをご愛読されている読者の皆様方も、大変ご興味がおありのことと思いますので、この項ではアジア競技大会での野球競技の会場となる球場施設について記してみたいと思います。

 まず、アジア競技大会はインドネシアの首都であるジャカルタと、2011年の東南アジア競技大会(SEAゲームス)の開催会場であったスマトラ島のパレンバンの2か所で開催されます。各競技種目でジャカルタとパレンバンに振り分けられる形式を用いていますが、野球はジャカルタでの開催が決定されています。

 南ジャカルタのスナヤン地区にあるグロラ ブンカルノ総合競技施設内に新規に野球グランドを建設し、アジア競技大会における野球競技のメインスタジアムとします。また、サブグラウンドとして、東ジャカルタのワラマゴン地区にある大学内の野球グラウンドを併用する計画としています。また、この2つのグラウンドは通常、車で40分ほどの距離があり、大会期間中は警察の護衛先導隊を付けない限り、2時間以上の移動時間となることが予測されます。各国代表チームの選手団や関係者、応援される方々はメインスタジアムがあるスナヤン地区に宿舎を構えると思いますので、この部分は十分に注意をされた方がよろしいかと察します。

 では次に、メインスタジアムとなるスナヤン地区のグロラ ブンカルノ総合競技施設内に新設された野球グランドの詳細について述べてみます。グラウンドは内野、外野ともに天然芝を敷設、サイズはレフトが328フィート、ライトが318フィート、そしてセンターが388フィートと、国際規格を満たしています。このレフトとライトの距離の相違は、ライト後方に遊歩道がある関係で10フィート短くなっています。観客席はバックネット裏と1塁側、3塁側のダッグアウト後方に設けられていますが、外野部分の観客席はなく、観客の収容人数は最大1200人です。グラウンド施工は、当初、昨年の12月末までの完了を予定していましたが、現状、大幅に遅れています。

 また、アジア野球連盟からは改善事項が通達されています。改善事項は「照明の容量が半分」「照明塔の高さが10m足りない」「天然芝の種類が異なる」「バックスクリーンの設置」「電光掲示板の改良」「レフトからセンターそしてライトのフェンス際なるトラックの幅を現状の7mから5mに変更」「トラックと芝の間にある溝の撤去」「レフトとライトのファール、フェアの境界線に埋めた石材の撤去と芝植え」「グランド内から見たスタンドと観客席の色、及び観客席/椅子の色を現状の白色から変更」「観客席の収容人数は5000人」等、約10項目におよび、上記の改善項目とサブグラウンドの状態について3月上旬に、再度、アジア野球連盟がジャカルタに来訪のうえ、最終確認を実施することとなっています。

 実際、私も、このグラウンドの視察に行きましたが、アジア野球連盟から改善要求事項の遂行は未だにされていない状態です。アジア野球連盟からの改善事項とは別に私感では、観客席スタンドの屋根の傾斜が外側から内側に傾いている為に雨がグランド内に流れ入る心配を感じました。また、ワラマゴン地区のサブグラウンドは、以前、視察をしましたが、内野の凹凸が厳しく、ライトの奥がサッカー競技と併用されていて荒れていたことから使用を断念した経緯があります。国際大会での使用となると、他にも細部に渡って改善が必要と思いますが、整備改善は未だに行われていないとの情報です。

 たしかに、郷に入ったら郷に従えという言葉はありますが、日本やアジア野球先進国の野球グラウンドと若干異なる仕様は、各チームの選手の方々は、かなりの戸惑いを感じるのではないのでしょうか。事前情報としてアジア競技大会に参加する国々の選手の方々や関係者の皆様方へ発信をしていきたいと思います。

 国際大会で使用する野球グラウンド、また、インドネシアの首都であるジャカルタに初めて建設される国際規格を満たす野球グラウンドとして、各国代表の選手たちが仕様や設備上の観点から、必要以外のストレスや怪我をすることのないように、準備をしてもらいたいと願います。

 今後、グラウンドの状況は情報が入り次第、ご報告をさせて頂くとともに、インドネシア代表チームの編成や強化練習についても記載させて頂ければと思います。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
野中 寿人(のなか かずと)
1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。

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