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"世界の野球"インドネシア野球「インドネシア アマチュア野球連盟人事改正(リーダーと組織)」

2017年2月26日

文・写真=野中寿人

 インドネシア代表チームや諸々の野球行事を統括するインドネシアアマチュア野球連盟。その組織は、4年毎に国内連盟支部を交えた選任選挙を経て、人事の改正を行なっています。2013年春に開始した現人事体制も、この2月には任期満了を迎え、来たる3月からは新人事へと移行されます。
 毎回の人事改正にて、そのリーダーとなる会長就任者の人脈と運営能力がインドネシア代表チーム運営や各国内外大会への参加または開催、その他のプロジェクトを遂行させる上で、大きく影響してきます。野球途上国のインドネシアにおいて求められるのは、リーダーである会長以下、幹部やスタッフに至るまでが組織の意味を把握し、組織内にマネジメントシステムが稼働できる、頭脳的で行動的な集団を形成することなのです。

「改革」や「改善」についてどの様な動きをしなければならないかは理解している訳で、その改革を遂行できるのか?また、従来の連盟の取り組みにはない事項について、連盟自身それ気づけるか?外部からの意見を吸収できるか?これらの点が最も重要になってきます。
 連盟として正常に稼働をしていく為にも、以前からの狭い領域での運営と、しがらみや枠規制による人事構成で、無機能な状態を繰り返しては話になりません。やはり、そこには、新会長となる者の判断、決断においての、”私的無情”の采配が鍵となってきましょう。

 組織の判断や決断は、その組織にとって常に、最良を求めるものです。リーダーという立場に置かれた者は、絶対的に成果や結果を示せなくてはいけません。しかし、仮にそのプロセスの工程内に、私的損得の感情が絡んだ場合、自然と判断や決断に歪みが生じ、周囲からの共感を得るのも困難になります。また、判断や決断に際して、色や理屈を付けて誤魔化したりすることも多々、見うけるものです。この誤魔化しこそが、俗にいう”私的有情”に値するものです。
 組織の立ち上がり、すなわち、創始時期に作られた枠組みは、一定の時期を経過し、次の工程に向かうにタイミングになると、既存の枠組みが機能しなくなるものです。
 環境や諸条件が変化する中では、昨日の適任者が、必ずしも、今日の適任者にはならず、過去にどんな功績や実績を残し示した者でも、次の工程の中で成果を示すことが出来なかったり、向上性の維持が乏しく、マイナス要因の比重が多いのであれば、役職や地位から退いてもらわなくてはなりません。この様な決断も、リーダーの資質を問う上で、最も重要な部分です。以前からの風習や習慣などから、理不尽だとか、切れないだとかの「自己の思い入れ」や、周囲の意見からの、友情的・同情的な見解ばかりを聞き入れるようなことでは、組織としての未来はありません。

 リーダーとして、自己の気持ちをゼロに保つこと、すなわち、”私的無情”になることによって、非情とも思える判断や、決断を下すことが出来る訳であり、ここ1番での状況や、タイミングを正しく判断し、周囲に与える影響を、最小限とする為の、絶対的な要素となるのが”私的無情”と言えるのではないでしょうか。
 そして、組織のキャビネットとなる各人事には、企画立案やマーケティングをはじめとした運営起動の考えを持ち、かつ、行動が出来る人事を据えることで、運営稼働に際しての目的意識の強い集団とさせることも重要なことです。キャビネット内の役職に座っているだけで、日々の動きや成果もなく、国や政府から援助される国内や国際の複合競技大会だけを待ち、大会の業務をこなす様な人材は要りません。

 重要なことは、選手を主役として考える思考と、連盟内部の人員で必要な資金を獲得するためのビジネス起業、スポンサーやドネーションを獲得するチーム/部署の編成、外部機関や人材による資金獲得オペレーション、会長自身の個人的資産といった、複数の資金源となる柱をしっかりと構築することなのです。
 ここでいう組織内部での資金獲得のビジネス起業とは、内部人員にて予算を確保し、ビジネスを仕掛けるものです。現他社のビジネス形態に便乗をし、手数料を摂取する方法でも良いでしょうし、自然、天然、需要性の物資販売を手がけるような方法も考えられます。また、このビジネス構築の中で、選手の雇用をも絡められれば、選手への生活補助や保証にも連動していきます。

 次に、連盟自体でスポンサーやドネーションを獲得する部署を設け、チームごとに分けて、日々その為だけの動きを行うことも重要です。特に、野球のステータスを上げる企画宣伝部署を併用して立ち上げ、人気のある団体や個人とのコラボによるイベントの開催からグッズの販売を手がけたり、各種ボランティア活動への参加による社会的貢献など、野球のネット放送やアニメ放送、その他諸々の活動にて、メデァアへの露出度を図り、資金獲得の動きに連動をさせます。
 また「外部機関や人材による資金獲得」は、連盟外部付けとして、野球の向上と発展における、諸々のプロジェクトを遂行するものです。

 以上の様な資金源の幹をつくることと、国や政府からの資金援助を合体させ、また、会長職就任者の個人的資産の運用や、先出しをも絡め、運営能力を高めていくべきです。
 また、連盟本部と連盟支局間の力関係についても明確化することが、新しい改革として望まれます。現状の様に連盟本部と連盟支部の力量関係が逆転していることが、国際大会よりも国内大会の方にチーム編成を優先してしまうことにつながってしまいます。
 全ては、資金源の獲得と確保があってこそ、各プロジェクトの立案と施工が可能になるのであって、先に立つ物が無くては、何も出来ず、野球の発展も向上もありません。加えて、インドネシア代表チーム各カテゴリーの国内外の大会開催から強化練習、そして、選手たちへの給与の支給、学校や就職の斡旋、国外への野球修行や野球留学、野球就職等までをトータル的にカバーし、更には、指導者育成と審判育成、段階別ライセンスの発給、各州への向上プロジェクトの提供と実施等も、連盟の任務となることを肝に銘じなければなりません。

 そして、もう1点、組織のリーダーとして、全権委任に徹した組織の構築が必要です。組織内の各セクション統括者への、責任と向上心を植えさせる為にも、プロジェクトや任務を任せた以上、その途中段階において、一切の口出しや、手出しはしない。これは、統括者の下に位置する者を惑わさないことに対して、大変、重要な組織としての鉄則です。
 任せた以上は一切手を出さず、上から状況を把握し、ブレが生じた場合には、統括者を呼んで軌道修正をすれば良いのです。また、任された者からみても、信用や面子に関わることです。しかし、他人の領域には入らないと公約をしても、性格的に結果として入りこんでしまい、全てを統括したがるというリーダーの存在を多く見ます。これでは、健全なる組織の構築は成りえません。
 野球でのチーム編成における組織の構築も、団体やサークルでの組織の構築もしかり、企業チームにおける組織の構築にしても、大小の規模や詳細の比重は異なるにせよ、組織というものの、基本的な鉄則と、その構築は、全て同じなのです。

 また、連盟は「インドネシア アマチュア ベースボール&ソフトボール連盟」という正式名称からも、野球とソフトボールの連盟として成り立っておりますが、野球とソフトボールの連盟分離も国と交渉を進めるべきです。
 ともあれ、今までが、運営能力が乏しく、稼働が、ままならないのですから、通常の人事改正だけでは改善には至りません。思い切った改革を当て込まなくては修正不可能です。選手あっての連盟組織という意識を忘れず、選手達の野球に対する情熱と、おのおのに抱く野球での人生/未来に向けた期待に対して、多くの道を開き、提供をし、選手達が目的とする場所へ、導き運ぶことと、まとわる関連部分を円滑に向上させることが、インドネシア アマチュア野球連盟の役目です。

 以上の内容を、インドネシア アマチュア野球連盟の新人事に期待をし、同時に、他方面において、組織を構築される方々や、同類似問題を抱え、組織の改善、改革を必要とされておられる方々にとって、1つの参考材料として頂ければと思う次第です。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
野中 寿人(のなか かずと)
1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。

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