文・写真=野中寿人
今回は、今年の6月24日から香港で開催される東アジアベースボールカップおよび8月18日からインドネシアのジャカルタで開催するアジア競技大会へ参戦するインドネシア代表ナショナルチームの編成と、アジア競技大会で使用する野球グラウンドの最新状況についてご紹介します。
インドネシア代表ナショナルチームについて
まず、インドネシア代表ナショナルチームの編成ですが、3月の始めに国内より約70名弱の選手とコーチ候補者8名をスマトラ島のランプン州に召集し、第1回セレクションを開催しました。インドネシアアマチュア野球連盟により決定されたセレクションの内容は以下の通りです。
・選手たちを4チームに分けての総当たり試合
・体力測定
セレクションの選考には試合での成績が主として反映され、セレクション外での選手の実績や適性能力など、現場サイドからの評価は反映されません。
また、コーチ候補についてもこの試合の采配による選考となります。
しかしインドネシアアマチュア野球連盟からの指示により試合ではノーサインにしているため、実際には試合采配でのコーチ候補の選考は難しく、その他の判断材料もありません。そのため実戦での適性能力の評価ではなく、過去の経験値による選考となっているのが現状です。
このような中、ランプン州にて約2ヶ月間の練習を経て今年5月1日に新設されたジャカルタのグロラブンカルノ総合競技施設内野球グラウンドにて最終セレクションが実施されました。
この最終セレクションには第1回セレクションにて選出されたメンバーに新たな候補選手が追加され、東アジアカップには最終セレクションで選出されたメンバーで参戦します。その後7月上旬に再度セレクションを開催し、再編成したメンバーでアジア競技大会に臨みます。
アジア競技大会会場グラウンドについて
次に、アジア競技大会での会場となる野球グラウンドについてご紹介します。
前回までのアジア野球連盟の視察において改善の指摘を受けた箇所はまだまだ未改修の箇所も多く、メインとなるグロラブンカルノ総合競技施設内のメイングラウンドは以下の箇所を今後設置もしくは改修していく予定です。
・スタンド内壁と観客席の色の変更
・バックスクリーンの設置
・ホーム後方スタンド内壁の設置
・ベンチ前の柵の設置
・外野フェンスへのクッションラバーの設置
・芝のメンテナンス
また、サブグラウンドとして使用するラワマングン地区に新設中の野球グラウンドにも、ようやく芝を貼る段階です。双方とも完成はアジア競技大会開催直前となる見通しですが、完成したグラウンドが国際規格を十分に満たせるのかは不明なのが現状です。
その他、グラウンド内部の選手ロッカールーム(ロッカーについては未設置)やシャワー室などの現況写真も掲載します。
そして、少々気になるのがグラウンドと太陽の位置関係です。
ホーム後方のバックネットから方位を計測したところ朝の9時から9時30分に丁度センターバックスクリーンに位置する部分の真上に太陽が昇り、夕方にはバックネット方向に日が沈むため、夕方の試合ではファースト、セカンド、ライトの守備時に夕陽が目に入ることが懸念されます。
アジア競技大会に出場される侍ジャパン社会人代表の関係者の皆さまには逐次、メールでグラウンド状況を説明させて頂いております。
7月上旬には、侍ジャパン社会人代表の首脳陣の方々がジャカルタへ来訪され、メイングラウンドやサブグラウンドを含めた施設などを視察される予定です。
アジア競技大会においてプレーが円滑に進み、怪我等が発生しないよう、出場が決定している各国の代表チーム、そして今後出場の可能性がある代表チームの選手やスタッフの皆様に、今回のレポートを通じてグラウンドの現状を参考にしていただければ幸いです。
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著者プロフィール
- 野中 寿人(のなか かずと)
- 1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。
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