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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「東京オリンピックへの道のり」

2018年7月2日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 前回のコラムで紹介したとおり、4月にインドで行われた「PRESIDENTIAL CUP」で2位となったネパールであるが、その後も盛り上がりを見せている。先日は、ネパールのスポーツ専門テレビ局である「ACTION SPORTS」でネパール代表チームを特集した番組が放送された。ネパールでこのような野球の番組が放送されるのは稀有なことである。また、ネパール東部のマクワンプル郡に新たな野球団体が設立され、ネパール野球ソフトボール協会の役員やネパール代表選手も交えて設立式典が行われるといった新たな展開も見せている。そして、6月1日に発表された世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の世界ランキングは前回の73位から62位へと上昇した。

 そんな代表チームが次に出場する国際大会は来年の西アジアカップとなる。この大会は、2020年の東京オリンピックにつながる大会でもある。東京オリンピックで復活を果たした野球ではあるが、出場枠は6か国と少ない。日本は開催国として出場が決まっているので、残りの5つを世界中で争うこととなる。そこで今回は、オリンピック出場への道のりを紹介したい。

 既にWBSCから発表されているが、オリンピックの予選となる大会は以下の4つである。

 ・プレミア12(2019年11月開催)
 ・アフリカ/ヨーロッパ予選
 ・アメリカ大陸予選
 ・インターコンチネンタル予選

 まずは、プレミア12で2か国が決まり、その後、アフリカ/ヨーロッパ予選およびアメリカ大陸予選で各1か国が決まり、インターコンチネンタル予選で最後の1か国が決まる。アジアに関して言えば、プレミア12とインターコンチネンタル予選がオリンピックの出場国を決める予選となる。しかし、両大会に出場するためには、それまでにも様々な大会を勝ち抜く必要がある。

 まずプレミア12であるが、この大会には2018年の最後に発表されるWBSC世界ランキングの上位12か国が出場する。WBSC世界ランキングは過去4年間のWBSC公認の国際大会の成績によって決められている。4月のPRESIDENTIAL CUPもそのひとつであった。しかし現在、ネパールは62位であり、プレミア12への出場は現実的ではない。

 従って、ネパールにとって残された道はインターコンチネンタル予選ということになる。アジアでは2年に1度「アジア野球選手権大会」およびその前段として東アジアと西アジアの2地区に分かれて「東アジアカップ」と「西アジアカップ」が行われている。次回、2019年のアジア野球選手権大会はインターコンチネンタル予選への出場国を決める大会でもあり、大会の上位2カ国(既にオリンピック出場を決めている国を除く)がインターコンチネンタル予選に出場する。また、前回のとおりであれば、アジア野球選手権大会は東アジアカップと西アジアカップそれぞれの開催国および優勝国に日本、韓国、台湾、中国を加えた計8か国で争われる。

 間もなく6月24日から28日にかけて香港で東アジアカップが開催される。また、9月には西アジアカップの日程が決まる。多くの国々にとっては、これらの大会がオリンピックにつながる第一歩となる。ネパールがオリンピックに出場するには、西アジアカップ開催国枠を得る以外では、大会を優勝し、アジア選手権を勝ち抜き、更にインターコンチネンタル予選で優勝する必要がある。すなわち、ネパールにとっては、来年の西アジアカップが実質的な1次予選といっても過言ではない。プレミア12にしてもインターコンチネンタル予選にしても今のネパールにとってはこの上なく厳しい道のりである。しかし、東京オリンピックのみならず、その後のネパール野球の発展のためにも関係者はネパールでのグラウンド建設も進めている。今後のネパール野球の動向に注目していただきたい。

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