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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「変わるもの、変わらないもの」

2020年7月20日


2017年3月にパキスタンで開催された第13回西アジアカップにて撮影した写真です

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 前回のコラムで触れた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は依然として予断を許さない状況である。世界に目を向けると、まだまだ感染拡大が続いている地域も多く、ネパールもその一つである。ネパール国内での感染者数はここ1ヶ月で急増しており、5月末には1,500人程度だった感染者数が6月だけで11,000人以上増加した。現地では、ロックダウンが半年近く続いており、異常な状況である。また、今年、ネパール政府は「ネパール観光年2020」(Visit Nepal 2020 ※前々回コラム参照)というキャンペーンを展開し、国外から年間200万人の来訪者を迎えることを目指していた。しかし、このキャンペーンも3月末には中止が決定した。ネパール政府はこのキャンペーンに力を入れていて国外での広報活動を積極的に行っていたが、苦渋の決断をせざるを得ない状況となった。

 感染拡大の影響は現地での野球の活動にも大きな影を落としている。感染の危険は練習場所の近くにもひそんでいるのである。長期間に渡る厳しい状況の中、ネパール野球ソフトボール協会(NBSA)の役員からは「COVID-19のパンデミックで危機的な状況になっている。ロックダウンでネパールでの野球の活動が止まっている。今は野球どころではないし、先の見通しが立たず、どうしようもない」とやるせない思いを伝えてきている。実際のところ、NBSAはネパールでの野球普及を目的として各地の学校で野球を紹介する活動を計画していたが、学校がロックダウン解除の対象外なので、それもままならない。また、今年の10月には野球大会を予定していたが、大勢が集まっての行事も認められていないので、現状では計画が立てられず、来年に延期することとなった。さらには、日本から現地に指導員を派遣する計画もあったが、これも中止となった。

 1999年から20年以上にわたって続いているネパール野球の活動であるが、今回に限らず、その間にはネパールには困難な時期が何度かあった。そして、その度に現地の人々とも力を合わせて困難を乗り越えてきた。例えば、2005年には内戦の激化で非常事態令が発せられ、現地での活動を自粛したこともあったし、記憶に新しいところでは、2015年にネパールで大地震が起こり、現地で多くの人々が犠牲となった。しかし、今回のコロナ禍は、世界中が巻き込まれ、人々の生活環境にも変化をもたらす今までに経験のない危機となっている。

 ネパール野球の活動は現地の人々との協働によって続けられてきた活動であるが、大きな環境の変化で、今後はこれまでの常識が通用しなくなる事が出てくるかもしれないし、今後に向けて活動のやり方をいろいろと見直すことが必要になってくる。また、野球をする人が減り、野球離れが進んでいることも懸念材料のひとつである。とはいえ、活動の理念である「協働」の精神やこれまで共に困難を乗り越えてゆく中で築き上げてきた友情や信頼関係は今後も続いていく。また、前述したネパール大地震では「野球のおかげで地震の辛さを忘れられた」と話した少年選手がいた。今回のコロナ禍において、今は活動するのが難しいかもしれないが、逆境の中で野球やスポーツが人々の心の支えになると信じているし、この信念も変わるものではない。

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