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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「国際大会へ、ネパールを応援する人々」

2019年4月15日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 日本ではプロ野球も開幕し、今年も本格的な野球シーズンが始まった。去る3月31日、関西独立リーグも開幕を迎え、06ブルズ対和歌山ファイティングバーズ戦が06ブルズの本拠地である花園セントラルスタジアムで行われた。同リーグは今年、ベースボール・ファースト・リーグから改称、新たに堺シュライクスも加わり新しいスタートを切った。06ブルズからは選手が使用していたユニフォームを毎年ネパールにご寄付いただいており、この日はグラウンドでその贈呈式が行われた。贈呈式には私とネパール代表チームの主将であるイッソー・タパ氏が参加し、村田辰美監督(元近鉄バファローズ)からユニフォームが手渡された。このユニフォームは、7月の西アジア野球大会(開催国スリランカ 7/1~7/6)に出場するネパール代表選手に手渡され、練習着として使われることになる。

 ところで、06ブルズの他にも様々な形でネパールを応援している人々がいる。そのひとりが、シンガーソングライターの佐野碧(さの あおい)さんである。私はネパール野球の活動の中で、佐野さんのお母様と知り合ったことがきっかけとなり、佐野さんと出会った。佐野さんのお母様はネパールに住んでおられ、ネパールで30年以上に渡り学資支援をされている方である。

 仙台出身である佐野さんは楽天イーグルスの公式戦で試合前に国歌斉唱を行ったことも何度かある。楽天イーグルスといえば、2015年にネパールで大地震が発生した際、いち早くネパールの復興支援に乗り出し、公式戦での募金活動などを行った球団である(第15回「東北楽天イーグルスのネパール支援」参照)。

 また佐野さんは、このネパールでの大地震の復興支援を行うべく、2016年4月にネパールの世界遺産バクタプルでヒカリと音楽を届ける「HIKARI SONG GIFT」というチャリティーイベントを始めるなど、ネパールを支援する活動に取り組んでおられ、今年は4月20日にネパールのドラカで同イベント行う予定である。

 様々な音楽活動をされている佐野さんだが、その中で「野球の虫」というシングル曲も出している。実は、佐野さんは野球少女で、小学校4年生から6年生まで少年野球チーム、中学校1年まではリトルリーグでプレーしていた。そして、この曲は佐野さんが所属していた少年野球チームの監督が書いた詞に佐野さんが曲をつけた楽曲となっている。また、女子プロ野球の埼玉アストライアの片平晋作元監督が逝去された際には、同球団の選手たちの片平監督への思いをもとに「夢の星」という曲を作られた。

 佐野さんは語る。「音楽やネパールの活動を続けてこられたのは、野球をやっていた頃の情熱が今でも生きているから。そして一人ではなく、みんなでこそ広がる夢を知っているから。大好きなネパールの野球を心より応援しています!」

 私たちは「野球から広がる笑顔の輪」を合言葉にして野球を通じたネパールとの交流活動を行なっている。一方、佐野さんは音楽でネパールへ夢と希望を届けている。方法は違うが、目指すところは大いに通ずるものがある。今後もともにネパールを応援していきたい。

 さて、冒頭で述べた西アジア野球大会は東京オリンピックの実質的な1次予選となっており、出場するネパール代表選手は、前述した佐野さんのネパールでのイベントからほどなく、5月上旬ネパールで開催される「第2回ネパール全国野球大会」で選出される。日本でも様々な人々がネパールを応援している。選手の奮闘を期待したい。

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