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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「ネパール最古参選手」

2023年8月30日

文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)

 ネパール野球の活動は1999年9月8日にネパール第2の都市ポカラで始まった。活動開始当初は、ポカラのセカンダリースクール(日本の小学校高学年から中学校、高校にあたる学校)で野球を紹介し、そこの子どもたちと一緒に野球をすることからの始まりであった。あれから25年近い年月が経ち、当時の子どもたちも今では立派な大人へと成長している。

 そして、その中のひとりがナワラジ・ブジェル氏である。ポカラ出身のナワラジ・ブジェル氏は、ネパール野球が始まった当初に野球を始めた。ネパールでは、イッソー・タパ氏らとともに最古参の選手のひとりである。彼はその後もポカラでの野球の中心人物としてネパール野球の活動に携わっていて、現在はポカラ・ベースボール・クラブの代表者も務めている。

 そのナワラジ・ブジェル氏が8月にネパールから来日している。そして、日本滞在中の去る8月19日には、NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(以下、ラリグラス)の役員とともにオリックス・バファローズ様の球団事務所を表敬訪問した。

 ラリグラスの役員がオリックス・バファローズ様の球団事務所を訪問するのは、12年ぶりとなる。オリックス・バファローズ様からは、ネパールが2011年に国際大会に初出場した際に代表チームの道具が不足して困っていたところ、バファローズのヘルメットと硬式ボールのご寄付を賜り、ネパール代表チームはそのヘルメットを着用して試合に臨んだ経緯がある。ちなみに、ネパールの最初の代表チームの選手はラナワジ・ブジェル氏らポカラの選手たちで、ネパール野球の黎明期を支えた選手たちである。

 オリックス・バファローズ様への訪問を終えてナワラジ・ブジェル氏は「日本の野球は環境も選手も素晴らしくて感動しました。ネパール野球も日本に一歩一歩近づいていきたい」と意気込みを見せていた。

 そして、ナワラジ・ブジェル氏に同行したイッソー・タパ氏は「オリックス・バファローズ様も私たちも大阪を本拠地として活動しています。そういった繋がりもあり、大阪からともに野球を盛り上げていければ嬉しい限りです」と述べた。

 また、8月26日にナワラジ・ブジェル氏は、前々回のコラムでも紹介した在日ネパール人のための野球体験会(2023年6月14日付「在日ネパール人による野球体験会」参照)にも参加した。野球体験会に参加したネパール人の中にはプロ野球観戦に行ったことがある者もいて、ナワラジ・ブジェル氏は在日ネパール人の中でも野球に関心を持っている者が多いことに驚き、「ネパール野球が始まった当初は考えられなかったことで、今後のネパール野球発展の可能性を感じる」と話していた。

 ところで、ナワラジ・ブジェル氏の来日に続き、9月にはネパール野球ソフトボール教会(NBSA)の役員の来日が控えている。NBSAは前回のコラム(2023年7月14日付「ネパール野球ソフトボール協会の新体制発足」参照)でも紹介したように、6月に新体制が発足したばかりである。NBSAの役員は来日中、関係団体への訪問などを行う予定だが、野球を通じたネパールと日本の友好の輪をさらに広げていきたい。

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