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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「原点に戻る」

2021年4月26日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 前回の記事の最後で述べたように、ネパール野球はこれまでの活動の中で最大のピンチに直面しているのかもしれない。コロナ禍のこともあって、現地の野球関係者からは、この先続けて行けるかどうか不安の声も上がっている。

 しかし、野球に限らず、新しいスポーツの普及は一朝一夕にできるものではない。日本の野球も現在の隆盛を極めるには長い年月が掛かっている。そもそも日本に野球が伝わったのは1872年のことで、開成学校(東京大学の前身)のアメリカ人教師ホーレス・ウィルソンによってもたらされたとされている。日本でも野球の普及には様々な壁があったと思われるが、現在のネパール野球の状況もその壁の一つなのかもしれない。長く続けていく間には、このような壁はいくつでも出てくるし、そのたびに壁を乗り越えるため努力しなければならない。

 そして、コロナ禍の中、2020年に開催予定だった東京オリンピックも1年延期された。ご存知のように、この大会では野球が3大会ぶりに復帰する。野球の復帰が正式に決まったのは2016年のことであるが、野球の復帰に向けては、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)を中心に、世界の野球関係者が一丸となって復帰運動を展開し、私たちも微力ながら尽力してきた。オリンピックはネパール野球の活動を始めたときからの夢であったし、オリンピックへ挑戦することが近年のネパール野球の原動力となっていたことは間違いない。そして活動20周年を迎えた2019年に東京オリンピックの実質的な1次予選となる第14回BFA西アジア野球大会に出場することができた。東京オリンピックの開催に関しては様々なところで議論がなされているが、場合によっては予選も幻のものとなってしまうかもしれない。ただ、たとえそうなったとしても、東京オリンピックがひとつの具体的な目標となってネパールの人たちと「協働」が実践できたと考えれば、オリンピックは次の活動に繋がる有効なきっかけだったとも捉えられる。明確な目標設定は成長していくために必要不可欠な要素である。

 ところで、ネパールの現状に目を転じると、コロナ禍で思い切って野球ができない中で、一部のチームでは子どもたちがキャッチボールで盛り上がっている。そのひとつ、バクタプルのチームの代表者であるローシャン・タパ氏は「厳しい状況だが、少しでも希望の光がある限り、活動を続けていきたい」と述べている。そもそもキャッチボールは私たちネパール野球ラリグラスの会(以下、ラリグラス)の活動の原点でもある。1999年、大学生がネパールでの海外研修中の空き時間にキャッチボールをしていると、人々が集まってきて物珍しそうにそれを見ていた。その後、それを不思議に思った学生たちが国家スポーツ評議会を訪問し当時の大臣に確認すると、ネパールには野球が全く無いという事実が伝えられたのである。キャッチボールというひょんな事がきっかけでネパールに野球が知られていないことを知り、ネパールの人々と野球で交流がしたいと考えた学生たちが野球普及活動を始めたのがラリグラスの始まりである。

 ゼロから始まったネパール野球は、長年の活動の中で現地の人々による活動が増えて変化を見せるとともに、それを取り巻く社会環境も変わってきた。更に、昨年来のコロナ禍によって国内外を問わず人々の生活が様変わりたことで、活動の計画は白紙となり、この先の目標も不明確となっている。このような変化がある中で、私たちは活動の発展を図るために、法人名を4月14日から「日本アジア球友団ラリグラス」と改称し、今後はこれまでの活動を基礎としつつも、日本を含めたアジアにも広く目を向けた活動を行うこととした。改称の当日はネパールの元日であり、東京オリンピックの聖火がラリグラスの拠点である大阪市に来る日でもある。オリンピック出場は活動開始当初からの夢でもあるとともに、聖火は神々に捧げる神聖な火とされ、ネパールは神々の国と言われている。今日もネパールから子どもたちの「キャッチボール」の様子が報告されてきたが、今後も初心を忘れることなく、ひとりでも多くの同志や仲間を増やし共に活動していきたい。

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